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最低賃金、上げ幅が過去最大 物価高考慮、厚労省審議会提示

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この秋、最低賃金が大幅に引き上げられる見通しになった。物価高騰で働く人の生活が苦しくなっていることを重くみて、厚生労働省の審議会が上げ幅の目安として過去最大の金額を提示した。
―最低賃金って何? 
企業などが働く人に支払わなければならない最低限の時給で、法律に基づいて決まっている。都道府県ごとに経済情勢などを考慮して設定する。全国平均は現在930円で、一番高いのは東京都の1041円、一番低いのは高知、沖縄両県の820円。労働者と経営者の各代表、大学教授ら有識者の3者で話し合った結果、2022年度は全国平均で過去最大となる31円(3.3%)引き上げて961円とするよう厚労相に伝えた。

―どのように決めているの。
労使双方の代表と有識者で構成する厚労省の審議会が毎年夏、現在の金額からの引き上げ額を検討する。結果は47都道府県をA~Dの4ランクに分けて示し、それを参考に都道府県ごとに金額が決まる。改定された最低賃金は10月をめどに適用される。ここ数年は20年度を除いて毎年20円超上がり、伸び率は3~3.1%で推移してきた。

―今回、大幅に上がる理由は。
ロシアのウクライナ侵攻や円安の影響による物価高が主な理由だ。モノやサービスの値動きを示す消費者物価指数は今年に入って上昇基調で、食料品や光熱費など生活に欠かせない分野の伸び率が高い。「人への投資」を掲げる岸田政権が引き上げに前向きなことも後押しした。

―物価高が理由ならすぐに決まったの。
話し合いは当初の見通しから1週間延びた。昨年度は菅義偉首相(当時)の意向を背景に大幅な引き上げが検討され、審議会が混乱。採決という異例の決着となり、労使双方にわだかまりが残った。今年度はその反省から、上げ幅の算出根拠を含めて時間をかけて議論した。

―みんな納得して合意できたのかな。
賃金を支払う経営者側も懐具合が苦しい。日本商工会議所の三村明夫会頭は「原材料・エネルギー価格など企業物価の高騰を十分に価格転嫁できていない企業にとっては非常に厳しい結果だ」との談話を発表した。審議会は働く人の生活費を重視して大きい上げ幅を示した一方、経営者側の負担軽減も必要と判断し、助成金など支援策を充実させるよう政府に訴えた。

(2022.8.9 時事通信社)

オフィスタ
作成: 2022/08/09 (火) 12:11:48
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