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止まらぬ早期化、迫る「大学4年間ずっと就活」時代

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2020年春に卒業する学生向けの就職活動は6月に面接が解禁され、佳境を迎えている。そんな中、現在大学3年生の21年卒向けの就職活動も事実上スタートしている。夏休み期間中に行われるインターンシップの企業説明会の多くが6月から開かれるためだ。6月9日。東京ビッグサイトで開かれたインターンシップの合同説明会には1万人以上の学生が訪れた。多くは私服姿だったが、すでにリクルートスーツを着込んで“臨戦態勢”の学生もちらほら。企業側も「この時期からリクルートスーツを着ている学生がこれほど多いのは初めて」(大手住宅メーカーの担当者)と驚きを隠せない。学生がインターンの説明会に本気で臨むのも無理はない。この春に入社した19年卒の学生を対象にリクルートキャリアが行った調査では「参加中に内定の可能性があることを知らされた」インターンは15.9%。採用直結が明示されていたもの(10.7%)と合わせれば実に4分の1以上のインターンが、採用に大きく関わるものだったことになる。「選考には関係ない」と純粋に企業の認知度向上や業界研究に関するインターンシップも存在するが、一部の採用選考は3年の夏から始まっているといっても過言ではない状況だ。採用広報の解禁が3月、面接の解禁が6月という現行ルールは17年卒の学生を対象とした就職活動から始まった。その後、就職活動の早期化は進む一方だ。リクルートキャリアの調査によると、20年卒就活生の6月1日時点での内定率は70.3%で、調査を開始した2012年以降、この時期としては初めての7割超えだった。4月1日が面接解禁日だった15年卒までの数値を超えており、現行ルールができてからも就職活動の早期化は確実に進んでいることになる。リクルートキャリア就職みらい研究所の増本全所長は「15年卒の就活までは大手の後に中小の面接が行われていたが、今は逆で中小の面接が先に始まり、早い時期から内定が出ていることも内定率上昇の一因だろう」と語る。早稲田大学3年の男子学生は「来年はもっと早くなるかもしれない。学業との両立は大変だが早めの準備が必要」と不安げだ。リクルートキャリアによると、インターンシップの実施率は13年度で46%と半数にも満たなかったが、16年度は59.4%、17年度は84.6%、18年度には95.9%と急激に広まり、もはや「当たり前」の存在になりつつある。明治大学では5月に3年生を対象に就職活動のガイダンスを開いたところ、昨年よりも約400人多い1000人以上が出席した。同大就職キャリア支援センターの舟戸一治部長も「例年にない出席数は関心の高さの表れだろう。採用直結のインターンも増えることが予測されるし、さらなる早期化を懸念している」と語る。21年卒については経団連にかわり政府が現行ルールを維持する方針だが、22年卒以降はさらなる早期化・長期化もありうる。企業と大学側が通年採用を拡大することで合意しているからだ。一部の企業には通年採用の拡大に伴い、1~2年生の段階から学生に接触しようとする動きもある。都内のIT企業採用担当者は「人材の奪い合いはさらにひどくなるだろう。1年生や2年生のときから、認知度向上のイベントなどで接触を図っていく必要はあると思う」と話す。増本氏は「現在の採用活動は生産性が非常に低い。学生と企業が相互理解を深めるためのインターンなどを秩序を持って行うことが必要だろう」と警鐘を鳴らす。だが、来年以降は学生時代の多くが就職活動に費やされる“4年制就活”の時代が訪れるかもしれない。

(2019.6.13 日経ビジネス)

オフィスタ
作成: 2019/06/13 (木) 12:40:55
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