直売所 活気取り戻す 野菜、みそ 販売再開 JAかみましき、JA菊池
日本農業新聞(2016/5/12)
熊本地震で被害を受けたJAの農産物直売所が復旧し、生産者に活気が戻っている。JAかみましきの直売所「よかよかうまかとれたて市場」は、損壊した建物を補修し、3店舗のうちの嘉島店(嘉島町)と花立店(熊本市)で営業を再開。JA菊池の「とれたて市場」大津店(大津町)では、女性部味噌加工部会が作る手作りみその「朝一番」が復活した。客足や生産者の数も徐々に増えている。
JAかみましきとれたて市場出荷協議会の河原君代会長は「生産者も被災したが、じっとしていると気分が暗くなる。直売所への出荷が生きがいにつながると思った」と振り返る。この思いから、直売所の再開を急いだ。
地震直後の18日は、直売所の建物などに損壊があったため、JA本所の前を借りてブルーシートの上での販売からスタートした。被災し、避難している農家が多かったため出荷できたのは3、4人だが「キュウリやトマトなどを、売れるだけ売った」(河原会長)。
その間、従業員やJA職員が協力し、店舗や駐車場の修理を進めた。20日には店舗の前にブルーシートを敷いて営業できるまでになり、21日、嘉島店の営業を再開した。客からは「避難所では手に入りにくい新鮮な野菜が食べられる」と喜ばれている。
出荷する生産者も徐々に増え、売り上げも戻ってきた。嘉島店の売り上げは、5月初めには通常時の3分の2ほどにまで回復した。河原会長は「今はみんなが大変な時。前向きにならないといけない。直売所に出荷することで、その前向きな気持ちをさらに後押ししたい」と話す。
JA菊池では、女性部味噌加工部会が買い物客の「部会のみそが欲しい」という声に応え、被災した加工場の一角で、3日からパック詰め作業を再開した。部会員の山隈明美さん(70)は「直売所に来れば、仲間と笑いながら楽しく過ごせる」と顔をほころばせる。
大津店では、17日に営業を再開。味噌部会の加工場は店舗の隣にあるが、調理器具などが散乱したままで、今年のみそはまだ造れない状況だ。出荷を始めたのは昨年仕込んだものだ。
部会は70代の女性4人で組織し、10年以上みそを造り続けている。山隈さんは「お客さんにおいしいと喜んでもらえるのがうれしい」と笑顔で話す。
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