水稲から転換支援 連絡会議設置 大豆種子供給へ 熊本地震で農水省日本農業新聞 (2016/5/8)
熊本地震で被災し、今年産の水稲作付けが難しくなった農業者の所得確保につなげるため、農水省は他作物への転換支援に乗り出した。熊本県やJA熊本中央会と「水田営農再開連絡会議」を設置し、水が張れない水田に大豆などの導入を働き掛ける。経営安定対策の対象品目のため、一定水準の交付金も期待できる。収入の減少をできるだけ抑え、経営再建に結び付けたい考えだ。
相次ぐ地震の影響で、用水路の破損や地割れなどが発生。水稲を作付けできない水田が県内各地で出ている。田植えシーズンを迎えているが、復旧のめどは立っていない。生産現場からは他作物への転換に支援を求める声が出ている。所得確保に向け、森山裕農相も「何かを作っていただくことが大事」との認識を示していた。
関係機関が連携して作物転換を支援するために設けた連絡会議は、6日に初会合を開いた。水田の被害状況を把握し、作付けできない農業者に対し作物転換への意向確認に着手する。併せて大豆やソバ、サツマイモなど代替作物の種子の確保や、農業者への供給体制も整える。
同省は、中でも大豆への転換を有望視する。かんがい施設が被害を受けても栽培は可能で、東日本大震災の際も水が張れない水田で生産実績を残した。経営安定対策で、畑作物の直接支払交付金(ゲタ対策)と水田活用の直接支払交付金により最低でも10アール当たり5万5000円を得られ、所得確保にも役立つとしている。
代替作物の栽培が未経験な農業者を支えるため、連絡会議では作業機械や労働力の確保も後押しする。大豆などの増産に備え、被災した共同利用施設の復旧や増強にも取り組む。
この他、稲作が可能な農業者の支援に向け、水源の確保や、苗が不足した場合の地域間調整などを手掛ける方針。今月後半から小麦や二条大麦の収穫が始まることも見据え、乾燥貯蔵施設の被災状況の把握や搬入先の確保に力を入れる。
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