個々の農家を救え 連休返上「少しでも」 JAグループ支援隊 熊本地震
日本農業新聞(2016/5/4)
熊本地震の被災地へJAグループが派遣する支援隊が、個々の農家への作業援助を始めた。避難生活の影響や自宅、倉庫の損壊などで、営農の本格再開に至っていない農家も多い状態。「少しでも農家の支えに」と集まった支援隊は現場からのSOSに応えようと、大型連休を返上し作業に当たる。
熊本県JA菊池管内では3日、支援隊15人が農家4戸の支援に入った。激しい雨と断続的な余震の中、ゴボウやサツマイモの出荷作業などを手伝った。大津町に作業場があるサツマイモ農家、宮本辰徳さん(34)方では3人が作業した。1人ずつ、倉庫からの運び出しと洗浄、調製を分担した。
宮本さんは約3.5ヘクタールでサツマイモとニンジンを栽培。地震発生後は1週間ほど避難生活を余儀なくされた。同町にある農業用倉庫や作業場はコンテナが散乱、作業を手伝うパートも来られなくなり、サツマイモの出荷が大幅に遅れた。
生産部会を通じてJA菊池に支援を要請。JAや熊本中央会などが連携して、支援隊派遣の手はずをつけた。宮本さんは「支援に来てもらい、作業の遅れを取り戻しつつある。本当にありがたい」と感謝した。
支援隊は4月25日から本格的に現地での活動を始め、JA関係の共同選果場などで作業支援をしてきた。3日までは第3陣の71人が活動した。地震から日がたち、個々の農家の要望も出てきたことから、1日から農家の支援も始めた。
宮本さんは「本来なら一番忙しい時期に避難生活が続き、作業に影響した。畑は、50~70アール分くらいは畝立てし直さければ使えない。自宅や実家も被災していて、課題は多い」と話す。10日まで支援隊の派遣を要請しており、作業の遅れを取り戻そうと必死だ。
支援隊に参加したJA鹿児島県中央会経営指導部の有馬浩一郎部長は「作業は大変だが、少しでも農家の助けになりたいと自ら手を挙げた」と語った。
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