熊本地震 高設イチゴが倒壊 来期定植 間に合わぬ 宇城市
日本農業新聞(2016/5/4)
熊本地震を受け、熊本県宇城市で高設栽培のイチゴが倒れ、枯死する被害が相次いでいる。設備の撤去や新たな設備導入の費用に、出荷断念による収入減とを合わせ、深刻な打撃だ。9月までに設備の撤去や導入を済ませなければ、来期の見通しさえ立たず、現場は焦りを募らせる。
「家よか大事なイチゴが、こんなになってしまうとは」。宇城市のハウス37アールでイチゴの高設栽培に取り組む松岡剛さん(42)の表情が曇る。設備の7割は倒れ、イチゴは無残に枯れた。
4月14日夜の「前震」後、収穫作業を急いだが、16日未明の「本震」で被害が拡大。余震が続き危険なため、本来なら今月下旬まで見込める収穫を諦めた。300万円ほどが水の泡となった計算だ。設備の解体・導入費用などを含めると経営全体で3000万円ほどの打撃となる。
地元のJA熊本うきによると今後、来期の定植を9月までに済ませなければ、クリスマスなどの需要期に出荷できない。
松岡さんは「家族での対応は無理だ。県外の業者をどうにか確保したが、来期に間に合うかどうか。どぎゃんか支援をお願いしたい」と切実だ。
JA管内では、1999年の高潮による甚大な被害を受け、イチゴの高設栽培への移行を推進、ようやく軌道に乗ったところだった。生産が安定した矢先、特に若手の担い手が被災し、JAは営農意欲の減退と離農を強く懸念する。
JA園芸課は「優先して動かなければイチゴは来期に間に合わない」と、早期支援を強く訴える。(松本大輔)
http://www.agrinews.co.jp/modules/pico/index.php?content_id=37346
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