被災地の農業 復興急ぐ SNSで支援ニーズ把握 協力呼び掛け JA熊本県青協 (2016/4/26)
熊本県農協青壮年部協議会(JA熊本県青協)はインターネットを駆使し、地震の被災地で、人海戦術による新たな農業復旧支援を始めた。交流サイト「フェイスブック」や、アプリケーション「LINE」といったサービス(SNS)を通じて、作業要請があった農家らに対する支援を、同じく、ネットで仲間に呼び掛け、機動力と農業の知識を生かして復興を手伝う。支援の第1弾では、山奥から配管を通して牛の飲み水を確保した。
支援は、同県青協委員長で熊本県美里町の花き農家の善積智晃さん(36)らが提案。地震発生直後からSNSで被災地のJAかみましき、JA阿蘇の青年部長らに実態を聞き取った上で、要請があれば県内各JAの青年部会長らと現場に行き、農業復旧支援することを確認していた。電話連絡なども活用し、当面は28日までに農作業支援の要請を取りまとめ、5月中をめどに人的支援をする。
文書を配布することも難しい状況のため、素早い情報伝達が可能なSNSを利用。若手農家らしい団結力、若い力を生かした支援の在り方を考えた。全員が県内農家なので宿泊施設の調整も必要がなく、機動力を発揮できる。
支援第1弾では、土砂崩れで水槽が崩壊した南阿蘇村の放牧地で、配水管を通す畝を作り、新たに水源のある山に配水管を通す作業を実施。作業日前日の夕方にJA阿蘇青壮年部部長で、畜産農家の中村和章さん(36)が支援を訴えたところ、農繁期の休日に20人以上が駆け付けた。
中村さんは「雨が降る前に作業しないと間に合わないと思い、天気予報を見て急きょお願いしたのに集まってくれた。プロの農家集団なので作業が早い」と笑顔。支援を受けた同村の牧野管理組合の代表、大津洋二さん(63)は「水槽があった場所は見る影もなくなって困っていた。水が確保できて安心した」と感謝する。
仲間と駆け付けたJA鹿本の花き農家、坂本勇一さん(40)は「熊本の農業は負けない。リーダーの声でみんなが集まる。熊本の青年部は強い絆でつながっている」と強調する。
同協では、今後も地震対応で遅れている農作業を手伝うなど、情報収集力と行動力を発揮しながら、復興に全力を尽くす。
善積さんは「困った時に助け合うのは協同組合の原点。純粋に同じ農家の仲間を支えたい」と力を込める。