地方発案件掘り起こし、クラウドファンディングのキャンプファイヤー、各地でパートナー選定、金額や内容、密に相談。
2016/06/03 日経MJ(流通新聞)
インターネットで事業の小口資金を募るクラウドファンディングを運営するキャンプファイヤー(東京・渋谷)は、地方の案件を掘り起こす。各地の団体を公式パートナーに選び、地元に特化したクラウドファンディングサイトを運営してもらう。地方でも資金を募りたい人の相談に親身に乗れる体制を作る。熊本県の2団体との提携を皮切りに、全国へ広げていく。
地域に特化した「キャンプファイヤー×ローカル」を立ち上げた。個人がプロジェクトを立ち上げる際は、目標金額の設定などに悩みがちだ。これまでは電話などで相談に乗っていたが、地域事情に通じた公式パートナーを通じてより多くの案件を成功に導く。
まず、熊本市で農業・漁業の生産者を取材した情報誌を発行する株式会社Eや、熊本県宇城市で村づくりに取り組む団体、三角エコビレッジサイハテと提携した。米作りやゲストハウス作りなど、それぞれの得意分野での経験を生かす。
目標金額や支援した人への「リターン」の設定については、過去の案件を参考に助言できる。「例えば古民家再生なら『壁を塗る権利』などもリターンとしてあり得ることを多くの人は知らない」(キャンプファイヤーの家入一真社長)。物理的なモノをリターンとして設定しがちだが、実は参加する体験を楽しみたいという需要も多い。
リターンの設定はプロジェクトの成立を左右する重要な要素だ。過去の知見を元に発案者と密に連絡をとれるようにして、プロジェクトの成功率を高める。
クラウドファンディングは案件に集まった支援金から、一定の手数料を回収する。公式パートナーは手数料を自由に設定でき、その中からキャンプファイヤーに支援金の5%にあたる額を支払う仕組み。
キャンプファイヤーでは現状2000件を超えるプロジェクトが掲載されており、最近単月では400件が立ち上がっている。今回の取り組みでは年内に50地域で公式パートナーと提携し、100万円規模のプロジェクトを500件立ち上げることを目標にする。
クラウドファンディング事業者は増え、競争が厳しくなっている。キャンプファイヤーは2月に手数料を20%から5%に引き下げた。手数料は一般的に10~20%程度で、5%は業界最低水準だ。
プロジェクトで実現した商品の、その後の販路開拓までも支援し、売り上げを分けるなど新たなビジネスモデルを構築する予定だという。手数料の安さや充実した支援内容で、個人が気軽に企画しやすいサービスとして差異化する。