真昼の迫真ランド

【SS】Requiem:channel / 92

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ちゃむがめ 2021/07/28 (水) 23:57:02 修正




私は教祖の茗夢に連れられるがまま東部街(イーストシティ)の歓楽街を外れしばらく裏通りを人通りの少ない路地裏に店を構える中華料理店へ足を運んでいた。
茗夢は唐紅(からくれない)(うるし)塗りが目映ゆい円卓の向かいの椅子に腰掛けるなり、メニューに目を通すことも無く近くの従業員にフルコースを言い渡した。3分も経たない内に円卓を敷き詰める程の量のフルコースの料理の数々が私達の手元に運び込まれた。


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「わぁ〜…こんなに食べていいんですか…!?」

長い間ろくな食事が摂れずにお腹を空かせていた私の口から思わず本音が漏れる。

「勿論♪遠慮はいらないよ、请用餐(召し上がれ)!」

「やった〜!!それではお言葉に甘えて、いただきまーす。」

私は円卓に並んだ、焼豚(チャーシュー)小籠包(ショウロンポウ)、北京ダック、エビチリ…
選りすぐった好物を口一杯に頬張る。
あぁ…现在我很幸福(幸せ)…。

「アハハ、食べ盛りの男子小学生みたいな食いっぷりじゃん、ウケる〜アハハ。」

そう言ってビールジョッキ片手にはしたなく笑う茗夢はさながら同伴で女の子に食べ物を貢いで満足そうな笑みを浮かべる中年のオジサンみたいだった。

「そういえばさぁ、折角だしエマちゃんも飲みなよ。」

「私まだ未成年なので…」という台詞が口先を出掛かったのを飲み込み、申し訳なさそうにして私は彼女にグラスを差し出す。
私の中の薄っぺらなモラルはアルコールの切望の前には全くの無力だ。

茗夢に注がれたグラス一杯のビールを私はすかさず喉奥に流し込む、茗夢が私と乾杯をしようとジャッキを差し出していたことににも気づかずに。

「…最高〜!!」

久しぶりに口にしたアルコールの甘美、そして年齢を偽り教祖を欺いて味わう背徳的とも言えるビールの味わいに私は酷く酔いしれてしまいそうになった。

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