真昼の迫真ランド

【SS】Requiem:channel / 91

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ちゃむがめ 2021/07/22 (木) 16:17:48 修正

「"営業中"も何も、お客さんはその看板の隣の注意書きを見なかったのかしら。『当店は風営法に従い、ギャング・マフィア構成員並びにホスト関係者、アザミ教会関係者の入店を禁じます。』って、ご丁寧に書いたつもりだったのだけれど。文字が小さくて見えなかったのかしらね。」

「あはは、嫌な事を言わないでよ。私はお忍びでここに来てんだからさ、身分なんて関係無しにお客様を愉しませてよ。水商売なんだから、お宅もそんなお堅い事ばかり言ってたら商売上がったりなんじゃない?」

「"商売上がったり"なのはアンタらアザミが革命とかほざいて破壊活動を(おこな)って、野良の断片者(フラグメンター)達を煽動して蔓延(のさば)らせた他でも無いアンタのせいよ…!これ以上ここで無駄口を叩くようなら今ここでアンタ、殺すわよ。」

「"殺す"ねぇー…クスクス…怖い怖い…。別にいいけど、気が済むまで"殺して"見せてよ。ヤテツガナイこと、永井哲也(ながい てつや)クン♪」

茗夢の不埒な物言いに殺気立つ店長に彼女は物怖じする様子も無く、相変わらず不敵な笑みを浮かべてこちらを嘲ける。

「…はぁー…これだから嫌いなのよ、ギャングと宗教は。面倒事を運んでおいて、お構いなしにこっちの神経を逆撫でするような言動ばかり取るんだから。お客様が"神様"なら、アンタ達はまるで"疫病神"ね。」

「そっかぁ、それじゃあ私はこれでも"疫病神"になるのかな…。」

そう言って彼女は(おもむ)ろに懐から"何か"を取り出しカウンターテーブルに置いた。
彼女が懐から取り出したその"何か"の正体を知って私と店長は思わず目を見開き驚愕する。

(ユーロ)紙幣の札束…!?番号は全部バラバラ…これ全部本物で間違い無いのよね、教祖様…?」

「その通り、断片(フラグメント)で複製したような偽札じゃない、紛れも無い現生(ゲンナマ)だよ。ざっと1000€は下らないかな。さて…」
「"その子"と同伴閉店後(アフター)までお願いしたいなぁ、お釣りは結構。ダメだったら他を当たるけど…」

「前言撤回、アンタはどうやら疫病神でも教祖でもなく"神様"だったみたいね♡、注文は承るわ!エマちゃん、このお客様と同伴頼めるかしら、今日はお給料も弾むわよ♡」

「え、えぇ…?え?え〜!?…いいですけど…私が死んだりしたら店長の末代まで怨みますよ…」

「大丈夫大丈夫、殺したり洗脳したりなんかしないよ。私はただ同世代の女の子と話したいだけだから。」

「それじゃエマちゃん、お客様のことよろしくお願いね♡」ニコッ

私は一抹の不安を募らせながら、すっかりご満悦の店長の笑顔に見送られ、教祖に手を引かれ店を後にした。

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