真昼の迫真ランド

【SS】Requiem:channel / 90

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ちゃむがめ 2021/07/22 (木) 15:06:44 修正

ホンバラ・ハミダラス()』、私の勤め先のGirl'sBAR。
東部街(イーストシティ)歓楽街の目抜き通りの一角に店を構える、場所は地下1F。
私は店の入り口へと続く地下への階段を憂鬱押し掛かる重たい足取りで下っていく。


画像1

「いらっしゃ〜〜……あら?エマちゃん?」
「店長おはよーございまーす、あれ?今日シフト入れてましたよね?というか店長しかいないし、なんかあったんですか?」
「アンタ相変わらずニュースとか見てないのね…。この付近で最近野良断片者(フラグメンター)の強盗事件が頻発してるっていうのと、例の"教祖"の目撃情報が最近この辺りで出たって言うから。アンタ以外の子は今日休みの連絡入れてきたのよ、てっきりアンタも休みかと思ってたわよ。だから今日はアタシだけでお店切り盛りしようかしら♪なんて思ってたからむしろ助かるわエマちゃん♡」
「へー、そうだったんですか…。店長が助かるなら良いですけど。」

カウンター越しに冗談混じりで私と掛け合う彼、と呼ぶのは失礼か。"彼女"はこの店の店長「ヤテツガナイ=リサ
彼女は見ての通り女装家(オカマ)だが、こんな私を何かと気に掛けてくれる人格者で、普段は従業員(女の子)に混じって店長自らがカウンターに立ってお客さんと談笑をしてることもしばしば。
ユーモラス溢れる彼女を目当てにこの店に訪れるお客さんも珍しくない、「ホンバラ・ハミダラス」の看板娘の一人、なのかもしれない…。

「もー、アンタ相変わらず素っ気無いわね。そんなだから何年も恋人出来ないのよ。」
「うるさいです〜、目につく色男片っ端からナンパして連敗記録更新してる店長にそれ言われたくないです〜!」
「まァ…偉そうな口聞くじゃない!アンタも随分水商売で擦れて態度だけは一人前になったわね…。
"ママ()"としての自分が不甲斐ないわ…。」
「こんなお母さん居たらイヤですよ…」

カランカラン。ふと、私と彼女の雑話を遮るようにして来客を知らせる鐘が鳴る。

「…いらっしゃ〜〜…って噂をすれば、とんだ"珍客"が来たわね。」
「こんばんわ、お嬢さん方。"営業中"の看板が入り口にぶら下がってたから来てみたけれど、随分空いてるね…。」

来客者は3週間前、電波ジャックでお茶の間にショッキングな映像を流し、衝撃的な真実を暴露して世間を騒がせたお尋ね者の教祖、茗夢遊戯(ノリユメ アソビ)だった。

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