真昼の迫真ランド

【SS】Requiem:channel / 89

179 コメント
views
34 フォロー
89
ちゃむがめ 2021/07/22 (木) 14:05:14 修正




画像1


───7月22日、街頭のデジタル時計は「17:42」の現在時刻と「34℃」の気温を電子灯で示していた。
真夏の太陽は沈み、夕日の照らし出す路地のアスファルトの上には陽炎(かげろう)蒸鬱(じょううつ)が立ち昇り、私にはまるで夏が道行く人々に理不尽に殺意を向けてるように見えて仕方がない。

「あと18分…ヨユーで間に合うじゃん…。」

アルバイトの勤め先がある東部街(イーストシティ)歓楽街まではおおよそ徒歩5分。
私は少し回り道をして寂れた煙草屋を尋ねる。

「すいませーん、えぇと、231番1つください。」
「はい、10€ね。ところでお客さん…」

店員の怪訝そうな表情を見て私はすぐに彼が次に口走る台詞を予想できてしまった。

「…年齢確認ができる身分証見せてくれる?お客さん随分若々しく見えるからさ〜、ゴメンね。」
「あはは…すいません、今持ってなくて…」
「そっかぁ、それじゃあまた今度来てね、お客さん。」

クソ、クソクソクソクソクソ…。苛つく苛つく苛つく…。
今日はツイてない日だ。


─────#05『幼猫(おさねこ)誅罰(ちゅうばつ)-(たわむれ)-

通報 ...