真昼の迫真ランド

【SS】Requiem:channel / 87

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ちゃむがめ 2021/07/19 (月) 22:16:58 修正

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「…ミートさん!しっかり!」
「おい起きろ!クソアマ上官!!」

しばらく意識を失っていたのだろうか、横たわる身体のすぐ(そば)で私を懸命に起こそうとする大水木大佐と玲羽准将の声が聞こえる。
私は重い(まぶた)を開く、私の顔を心配するように覗き込む2人の顔、長い事暗闇の中を意識が彷徨っていたせいか瞳孔に入る日差しに目が眩む。

「…そう大きな声を出すな、耳に障る…」

「い、生きてた〜〜!よかった〜!」

「流石クs…レミート少将…生命力が凄ぇ…」

私の命の安否を確認できたことに安堵する2人を横目に首を持ち上げ自身の身体の容態を確認する。猛獣共に噛まれた箇所には少々手荒だが応急処置が施されており、"これで命に別条はない"と言ったところか。

「…状況報告、大水木大佐。」
「あっ、はいっ!私達が交渉に難航していた午前10時(ヒトマルマルマル)頃、時を同じくして各主要都市の治安管理局にてアザミの構成員と思われる断片者(フラグメンター)達による攻撃を確認し即時交戦、現在は各所ともアザミの構成員らの凶行を制圧したと通達がありました!」

「…そうか、状況から推察するに…我々がこの教会堂を制圧する以前、それよりさらに先にアザミは治安管理局への革命(テロ)の計画を綿密に企てていた、要するに我々が対処したヤツら断片者(フラグメンター)らも本部の戦力を割くための囮に過ぎなかった、という訳か…。」

「しかし、治安管理局本部もとい各都市の管理局支部も一枚岩ではない。アザミ(ヤツ)らは我々の管理局の戦力を見くびり過ぎた。アザミ(ヤツ)らが悠長に革命の計画を立てていた頃、"上"の連中もアザミが水際作戦による戦力の分散を狙い、本部に目星を付けていたことも各都市の管理局で発令された作戦には折り込み済みだったのだろう。その結果が我々治安管理局員の"完全勝利"だ。どちらにせよこれでアザミの不善な過激思想は潰えた、我々治安管理局の勝利によってミーバネルチャ(この国)の平穏なる秩序が保たれたのだ…。」

「それが…レミート少将……。」

「…どうした?何を口籠ることがある、大水木大佐。」

「肝心の、件のアザミの教祖は治安管理局東部街支部近辺に姿を現したものの、取り抑えることが出来ず、依然逃走中だそうです…!」

Putain(クソ共が)!あの危険人物をみすみすと逃すとは…東部街支部の連中はとんだ無能共の集まりだ…。」フラッ

大水木大佐の口から聞かされた凶報に私は再び眩暈を起こし、意識の昏倒を始める。

「わっ、大丈夫ですか!?レミート少将…とりあえず本部からの救護班か来るまで安静にしていてください…。」

「あぁ…教祖を取り逃がした無能共の悲報が私の体にとって余程毒だったようだ、貴様の言う通り今はただ安静にした方が身の為だろうな。」

「…それと最後に、玲羽准将。"起きろ!クソアマ上官"とは一体誰の事を指していたのだろうな?」

「アッ、ヤベェキカレテタ…はい、それは少し語弊がありましてですねぇ…」

「まぁいい、今は無礼講だ。"私の耳にその悪態は届かなかった"ことにしよう。貴様もその"クソアマ上官"の身を案ずるより自分の身を心配したまえ。くれぐれもその"クソアマ上官"から"熱の入った指導"を喰らわぬ様、養生しておけ。」

「はいっス…」

「それでは諸君、私は貴君らのお言葉に甘えて療養の為、安静にさせていただこう。但し本部に無事帰還するまでが我々に課せられた任務だ。帰還まで皆、決して気を抜くな!」

「「「A vos ordres.(イエッサー!)」」」

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