真昼の迫真ランド

【SS】Requiem:channel / 84

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ちゃむがめ 2021/07/15 (木) 22:13:53 修正

巨鱗快竜(カイリュー)!!!

ヘタル准将の体はみるみる内に巨大な黄土色のずんぐりとした巨竜へと変化し、その巨躯の持つ鋭い鉤爪で一般局員を襲う害獣共を払い除けていく。

「皆さん、こちらへ!レミート少将、リョック大佐…後は頼みます!!」

ぐったりとした一般局員達を抱き返るようにして彼女は本堂の壁を物ともせずに突き破る。
彼女に続くように怯弱な局員達は本堂から退散する。
本堂に残った者は私とリョック大佐、そして対峙するアザミの信徒約20名と"悪趣味な猛獣使い"2人のみ…。

「さぁ聖なるアザミの信徒達よ、あの不埒な異端者の女と銃オタクに"洗礼"を浴びて差し上げなさい!」

(いな)、洗礼を浴びるのは邪教徒の貴様ら害獣共だ。」
(なまり)の洗礼を受けるがいい。」

アザミの信徒らが撃鉄を起こす前に私は両手に携えた愛銃の引き金を引いた、銃口から絶え間なく放たれた弾丸が邪教徒共の胴に容赦無く浴びせられる。
本堂内は私にとっては懐かしい硝煙に満たされてゆき、
アザミの信徒共の苦痛の入り混じった悲鳴が本堂内に(こだま)する。

「先程の言葉をそっくりそのままお返ししよう、"非断片者が断片者(フラグメンター)に楯突くのがそもそもの間違いだ"。」

「やりましたな!レミート少将!」

「いや…奴らも一筋縄ではいかないようだ。」

本堂内には私の愛銃の銃口から噴き上がる硝煙、邪教徒共の穢れた血の匂い、そして…新鮮な獣の血の匂いが微かに匂った。
本堂内に立ち込めていた硝煙が薄れてゆき、視界が開けていくとそこには五体満足で佇む猛獣使い共と、その前には奴等の盾となりその身に銃弾を受けた害獣共の死骸の山が積み重なっていた。

「ほう、貴様らにとってその害獣共の命は愛玩動物の様な存在ではなく只の道具の1つに過ぎない…という訳だな?」

「おや?無慈悲にその銃で彼らの命を奪った貴方が私達に動物愛護(アニマルライツ)を説くのでしょうか?とんだエゴイストですねぇ…。私達は神の御心の(まま)に動く聖者、そして私達の剣として、時には盾となる彼らは神の使い。聖者である私達を守り命を落とすのならば、それも神の本望。」

「エゴイストは都合良く作り上げた偶像の神の名の下に、己の断片(ちから)を欲しい侭にし、罪無き魂達を穢す貴様ら薄汚れた邪教徒共の方だろう、違うか?猫冴彩奈」

「…悲しい事に、やはり私と貴方は同じ断片者(フラグメンター)だというのに、分かり合えないようです…。"サーカス"はもう終幕、いよいよ"フィナーレ"に致しましょう…!」

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