真昼の迫真ランド

【SS】Requiem:channel / 81

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ちゃむがめ 2021/07/12 (月) 16:32:33 修正

()断片者(フラグメンター)の攻撃を受け、我々チームαは半数以上の局員がビルの崩落による外傷を負った。
幸い我々の同胞に死傷者が出なかったことが幸いだったが、後方の崩壊した建造物に居住する民間人の被害状況が何よりの懸念だ。
私はチームαの局員全員の安否を確認し、本部へ救護班の増援を要請した(のち)、応急処置の出来る局員数名を救護班として民間人の救出へ向かわせた。

「これより、我々チームαはチームβ,δの後に続きチームcと合流し教会堂内へと突入する。"演習"に臨むような生半可な覚悟は捨てろ!例え手足を捥がれても悪を断つ覚悟で臨め!

「「「A vos ordres.(イエッサー!)」」」

我々は足並みを揃え、隊列を組んで進む。
正面扉前には交戦を終えたばかりと見られる玲羽准将、大水木大佐…そして、我々に躊躇なく砲撃を浴びせた張本人である断片者(フラグメンター)の少女が拘束され地面に捩じ伏せられていた。
他者の命を奪うことの罪業も知らない(クソガキ)が…。

「玲羽准将、被害は?」

「いや、攻撃はされましたがおれ達は無傷で済みました。」

「そうか、それは何よりだ。」

並の局員とは違い准将と大佐(その階級)にいるのだ。断片(フラグメント)を使いこなせていない少女の断片者(フラグメンター)程度、卒なく制圧出来て当然だ。そうでなくては実力を見込んで彼ら2人をチームcに組んだ私の指揮官としての経歴に傷が付く。
もう既にバイパーゼロ(無能な交渉人)を任命し、私の指揮官としての経歴には唾が吐き捨てられたようなモノだが。
厄介な少女の断片者(フラグメンター)の確保に内心安堵していたその時、チームβより無線連絡が入る。

『こちらチームβ並びにδ、リョックであります。現在教会堂内本堂にてアザミの幹部と見られる3名その他約30名ほどの信者と対峙、しかし例の"教祖"の姿は確認できず、応答願う。』

『…了解した、"教祖"の事は憂慮せずとも良い。これより我々チームα並びにcも其方へ向かう。』

「さて…いいか諸君、現在チームβ,δは教会堂裏口より内部に突入した、確認されている限り教会堂の出入りのできる扉は前途の裏口、そしてこの正面扉のみ。()しや例の教祖も身を潜ませ幹部を囮に逃亡を画策している可能性もある…そこで我々はこの正面扉より突入し教会堂内部に潜伏していたアザミの信者共を挟み撃ちにし退路を断つ。私とヘタル准将を除いたその他チームα並びにチームcは万が一我々が取り逃したアザミの残党を逃さぬ様それぞれ正面扉と裏口で待機、命令は以上、質問のある者は?」

「クs…レミート少将、突入班は貴方とヘタル准将のみで良いんすか?」

「(今何か言いかけたか?)…玲羽准将、案ずることは無い。私達は"国家公認断片者(フラグメンター)"だ。並の局員の持つ兵力を"1"とするなら我々国家公認断片者(フラグメンター)の持つ兵力は少なく見積もっても"30"。貴様ら非断片者(フラグメンター)の局員数十名がぞろぞろと突入したところで相手が手練れの断片者(フラグメンター)であれば全滅する可能性すらあるのだ。ならば少数精鋭で突入し、残りの局員で残党を逃さぬ様待機する方が合理的だと私は判断した。ここまでで異存はあるか?玲羽准将」

「…いえ、異存はないです。」

私の返答に対し玲羽准将はどこか煩悶を抱えたような曇った面持ちを見せたが、今は彼を気に掛けてやる暇もない。

「では、行こうか、ヘタル准将。」

「えぇ、レミート少将。」

私達は正面扉を抜けいよいよ暗雲立ち込める教会堂内へと突入した。

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