真昼の迫真ランド

【SS】Requiem:channel / 54

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ちゃむがめ 2021/07/02 (金) 19:03:49 修正

「そう、"断片(フラグメント)の共鳴"。キミの中の断片(フラグメント)(くだん)の教祖の演説に呼応して、その力がキミの意思に反して顔を出そうとしている…のではないかなって。」

「現に今日までキミはその身に断片(フラグメント)を宿しながら、時々ボクの所に通いながらも周りに悟られぬよう非断片者を装って生活を送ることができただろう?なのに今日になって突然断片(フラグメント)が暴走を始めた…これを件の電波ジャックと結び付けない方が不自然じゃない?」

迫真はさもそれらしく推論を淡々と語る、確かに、彼の推論には一理ある。
しかし、もし彼が言う通り"断片(フラグメント)の共鳴"が起こったのならば…それは自分に限ったことではない。
この国中の断片者(フラグメンター)達もまた"共鳴"を起こし、断片(フラグメント)の暴走を引き起こしているのではないか、と脳裏に最悪のシナリオが()ぎる。

「…ーい、おーい、玲羽クン?聞いてる?」

「あぁ…すみません、少しボーっとしてて…」

「まぁ、とりあえず。今日は"キミ用に調合した漢方薬"のストックを出しとくからひとまずこれで様子見だね。」

「…オエーッ、また漢方薬ですか…もっと飲みやすい錠剤、例えば糖衣錠とかにいい加減してほしいんスけど…」

「ウチもしがない個人医院だからさ、コレしか出せないのよ…ハハハ…」

「それじゃあ、はいコレ、3週間分出しとくから。お大事にね。」

迫真から調合された漢方薬の包みを受け取るとおれは
『リゼロ』を後にした、気づけば日は傾き夕刻だった。

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