真昼の迫真ランド

【SS】Requiem:channel / 36

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ちゃむがめ 2021/06/29 (火) 23:00:43 修正

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「…遅くなったな」

「2人ともおかえり。」
「あっ…おかえりなさい!!」

ミッキーとホーモォが用事を終えて帰ってきた頃、外はすっかり日が落ち、辺りには夜の(とぼり)が降りていた。

「勉強は順調か?灰菜」

「…もうクタクタです……」

「あはは…今日は一日中、色々なことをみっちり教えたからね…頭もパンク寸前じゃないかな…」

私は今日一日中、喫茶店に客が来る合間を縫って星野からこの国を取り巻く勢力、断片(フラグメント)と呼ばれる異能力、ミーバネルチャ建国の歴史etc…色んなことについて教わった。
自分から進んで教わったものの、予想だにしなかった情報量に私の頭は星野の言う通りパンク寸前だった。

「ハハッ!そうか、順調そうで何よりだ。」

「それよりアザミ教会の連中の様子はどうだった?」

「アイツらのことならミッキーの予知通り、『俺達は"革命"がしたくて堪らないッ!』というツラだった、だから一応忠告はしてやったぞ、教祖様が駐在していた東部街(イーストシティ)支部からはるばる他主要都市の支部まで回ってな。」

「それは遠路遥々のご足労だったね、すぐに休めるようにシャワーの用意とベッドメイキングもしておいたよ。」

「ハハッ!助かるよ星野、その前に一杯飲ませてくれ。」

ミッキーとホーモォは珍しく憔悴しきっていたようで奥のテーブル席に倒れるように座り込んだ。

「任せてよ、ご注文は?」

「マティーニを1つ、頂こうか。」

「じゃあ俺は一昨日採った"ロマネ・コンティ"を。それとマスター」

「…なんだい?」

「あそこの席の"レディ"にオレンジジュースを一杯差し入れてくれ、"昨日のお詫び"だと伝えてな…」

そう言ったホーモォの視線の先にいるのはカウンターの端で疲れ果て突っ伏していた私

「えっ…!?」ガコン

「かしこまりました…それでは暫しお待ち下さいませ。」

私は思わず驚いて席を立ってしまう、"昨日の詫び"に心当たりがなかったからだ。
ホーモォは私と目が合うと照れ臭そうに俯く。
気の所為かミッキーが仮面の奥でクスクスと嗤っているような気がした。

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