真昼の迫真ランド

【SS】Requiem:channel / 33

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ちゃむがめ 2021/06/28 (月) 17:30:19 修正

「…やっぱり勘付いてたか、アザミ革命のことは」

教祖の茗夢は焦りの様子を見せるというよりは面倒なことになったという怪訝な表情を見せそのまま続ける。

「ミッキー、キミが持つ未来視の断片(フラグメント)で嗅ぎつけたんだろうけどご生憎様、水面下で進んでいた革命の準備はもう殆ど終わったよ。今更中止にしろと言われたって私達の革命の歩みを止めるにはもう遅いの。国家へ向けるピストルにもう弾丸(たま)は込められているの、後は引き金を引くだけっつーわけ。
それに…視えているんでしょ?その目に、この革命の結末が」

茗夢は嘲るようにミッキーに視線を向けてそう囁いた。
しばらくの沈黙が続いた後ミッキーは重い口を開いた。

「ハハッ…その結末を話すわけにはいかないな、その結末を今ここで話せば、これを聞いたお前達の行動は変化し、未来がより俺達にとって悪い方向へと分岐する可能性があるからな。」

「フーン…それじゃあ、大方のシナリオはそのままで良いのにわざわざそんなことを進言しに来たっていうのは何故?」

「ハハッ!革命の全てを"お前ら"の思い描く通りのシナリオにさせない為だよ。」

「あはははっ、なんじゃそりゃ…ははははははっ!」

腹を抱えて噴き出す茗夢、この女の仕草の一つ一つは他人(ヒト)の神経を逆撫でさせる。

「それに…俺の様な未来を見通す断片(フラグメント)を持たずとも、お前にもその革命の結末は視えているはずだろ、茗夢。」

その瞬間不敵に笑っていた茗夢の表情が一瞬、強張りを見せたのが分かった。

「なーに言ってんだか、さっぱり分かんないよ…ドブネズミさん。私には神のお告げを聞くことはできても預言の力は持ち合わせていないんだから。」

「…もう口減らずのお前に話すことはない。そもそも俺が忠告しに来たのはお前じゃない、教祖様の周りにいるお前ら下っ端共だからな」

ミッキーはそう言うと茗夢の周りに物静かに佇んでいた信者達を指差した。神社達はお互いに顔を見合わせており動揺を隠しきれないようだ。

「命が惜しかったら管理局の連中には楯突くな…以上だ、じゃあな、行くぞホーモォ」

「…あぁ」

意味深な忠告を最後にミッキーはステンドグラスから差し込む光を背に来た道へと戻っていく。
俺は数歩遅れてミッキーの後へと続く、ふと後ろを振り返ると茗夢は相変わらず不敵な笑みを浮かべてケタケタと笑っていた。

「どうなっても知らねーぜ…インチキカルト教団の犬共」

俺達はアザミ教会 東部街(イーストシティ)支部を後にした。

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