真昼の迫真ランド

【SS】Requiem:channel / 3

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ちゃむがめ 2021/06/21 (月) 22:28:38 修正

「それ、外したいか?」

突然のミッキーの問いに私は戸惑う。彼は私の手錠を指差しながらそう呟いた。

「邪魔、だから…外したい。でも、付けていたい…。」
私が彼に放った第一声は慌てふためいていたせいかチグハグな回答になってしまった、未だ牢屋から解放されたばかりだったせいか感情の整理が追いついていなかった。
恥ずかしさのあまり彼から目線を逸らす。
きっと今頃彼も困惑しているのだろうか、その私の予想を裏切るように彼はすぐさま返答した。

「そうか」

そう言って彼がポケットから取り出したのは生まれて初めて目にする珍妙な鍵だった。
画像1

まるで幼児が遊ぶ玩具の一部のような、童話の世界に出てくるような。
様々に形容したくなる程に珍妙な鍵を掲げて彼は警告するように言った。

「今から両腕を広げて前に差し出せ」

「え?」

当然の如くその鍵でこの手錠を開けるのかと思っていた私は驚きを隠さなかったが、彼の言う通り両腕を手錠を繋ぐ鎖いっぱいに伸ばして前に差し出す、まさか…
そう思っていた直後、彼は鍵を手錠に振り下ろす
料理人が包丁で野菜を切るような手つきで。
驚くことに手錠を繋いでいた鎖は切り離され、手首に手錠が残ったまま私の両手は自由を得た。

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    ちゃむがめ 2021/06/21 (月) 23:29:07 修正 >> 3

    「なん……で…?」

    「もうすぐ迎えが来る、冬のナマズみたいに大人しくしてろ」

    あっけらかんとしていた気持ちの私を突っぱねるように彼は言う。
    奇妙なナリで多くの謎を抱えている彼にも親しい仲間がいるんだ、と驚きを通り越して呆れてしまった。

    こんな変なヤツとつるむなんて、そいつも絶対同じくらい変なヤツに決まってる。

    さて、一体次はどんな変人が来るのだろうと私の募らせていた不安を突き飛ばすように遠くからキキーッという車ののスリップ音が鼓膜を突いた。