真昼の迫真ランド

【SS】Requiem:channel / 28

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ちゃむがめ 2021/06/25 (金) 03:00:53 修正

断片(フラグメント)…聞き慣れない言葉に戸惑いを隠せなかった私に気づいたのか星野は申し訳なさそうにこう続けた。

「君ならもうてっきり知ってるのかと思ってた…もしかすると自分の断片(フラグメント)のこともまだ認知していなかったりするかい…?」

「あのっ…ごめんなさい、私本っ当に色々知らなくて…自分の断片(フラグメント)って言われても何のことなのかさっぱりで…」

「あちゃー…分かった灰菜ちゃん、大丈夫、今から僕が一から簡単に説明する。簡単に言えば極稀に人に備わっている超能力みたいなモノのことをこの国では断片(フラグメント)と呼んで、それを所持する者たちを断片者(フラグメンター)と呼ぶんだ。」

「そんな超能力みたいな力が…私に…?」

「ミッキーが連れてきたってことは恐らくそうなんだと思う、そうして管理局の連中達は断片者(フラグメンター)達の存在をコソコソ嗅ぎ回っている、何故なら公には断片(フラグメント)及び断片者(フラグメンター)の存在は否定されているからなんだ。」

「何故断片(フラグメント)の存在を否定するのでしょう…?」

断片(フラグメント)の力は常識では考えられない超常現象を引き起こす、場合によっては神にでも悪魔にでもなれる。そういう存在がいては管理局の連中が守っている秩序は簡単に崩れる、だから彼らは断片者(フラグメンター)達を秘密裏に拿捕し拉致、幽閉している…大人しく従わなかった断片者(フラグメンター)がその場で殺されたケースも過去にはあった。」

断片(フラグメント)を持って生まれただけで、国の秩序の名の下に自由が奪われる。
きっと彼ら管理局の人間達は私達のことを同じ人間として見ていない、まるで魔女や怪物の様に考えているのだろうと私は酷く失望した。
檻から出てChocola terrier(ショコラテリア)に迎え入れられて、ようやくわたしは自由になれたとばかりに思っていたのに、待っていたのは権力による抑圧だなんて知りたくなかった。表情を曇らせた私に星野の憐れむ視線が突き刺さる。

「…僕は持たざる者で"非断片者"だから…君に上手くかけてやれる言葉が見つからない…情けないよ…」

「星野さんは情けなくなんかありませんよ…」

「…灰菜ちゃん?」

情けないのはこの国の…断片者(わたしたち)の自由を奪ってハリボテの秩序にしがみついている管理人(アドミニストレータ)の奴らよ!

自分でも突然別人になったように声を荒げてしまいらしくないことをしてしまった。
星野は私に気押されたのか腰を抜かして尻餅をついていた。

「灰菜ちゃん…今の君を見て…昔のミッキー達を思い出したよ…」

「星野さん、今のこと、ミッキーさん達にはナイショですよっ!」ニコッ

(言われるまでもなくそうするつもりなんだけどな…)

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