真昼の迫真ランド

【SS】Requiem:channel / 25

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ちゃむがめ 2021/06/24 (木) 16:01:41 修正

「みなさん…おはようございます!!」

「おはよう灰菜ちゃん、そのワンピースとっても似合ってるよ」

にこやかな返事と共に私の着こなしを褒めてくれたのはカウンターで店の支度をしていた星野だった。

「…あの…ありがとうございます…」

服の着こなしを褒められたことは生まれて初めてだったから、思わず照れ臭くなってしまった。

「おはよう、灰菜」

階段を降りてきたのは昨日と相変わらずの出立(いでた)ちのミッキーとホーモォだった。

「あっ…おはようございます!」
「おはよう2人とも、もう出発かい?」
「ハハッ!"アザミ教会"の連中に野暮用があってな、灰菜と皆を頼む」
「了解、気をつけてね。」

そう言葉を交わすとミッキーとホーモォは急ぎ足で店を出た。
ホーモォが私とすれ違う一瞬、目が合った。
その瞬間何か言いたげな表情をしていたように見えたのは気の所為だったのか、私を一瞥(いちべつ)して彼はすぐに私の横を通り過ぎた。

「…ちゃん、灰菜ちゃん、聞いてる?」

「あっ、すみません!ちょっとぼーっとしてて…」

「あはは…彼らの存在感には半日くらいじゃ慣れないよね、気持ちはよくわかるよ。それでね、灰菜ちゃん今日のことなんだけど」

「…はいっ、何でしょう…?」

「今日のミッションはお勉強!」

「…え。」

勉強…pousse Jardin(双葉の園)にいた頃から私はどうも勉強は苦手だった。頭の出来が良い子供は高く売れると言うのでとしあきは園の子供達に学問を教えていたが、それを学ぶことの意義は教えてくれず、私はいつも馬耳東風、机に突っ伏して居眠りをしていたときのことを思い出した。

「勉強と言っても灰菜ちゃんが身構えるようなことはしないよ、君がpousse Jardin(双葉の園)にいた頃、外の情報を知る(すべ)は無かったと思うし、今日はこの国と街についての歴史と現状、そして僕らのことを少し教えようかと思うんだ。」

なんだ、良かった。
少しは学ぶ意義のありそうな"勉強"で。

「それなら私も…実は知りたいと思っていたので、嬉しいです!」

「そっか、なら良かった、今ならお客さんもどうせ来ないし早速授業を始めようか。」

「はい!」

私は純真無垢な女生徒のようにカウンター席に腰掛け
星野はまるで教鞭を執る大学教授のような立ち振る舞いでカウンターテーブルの前に立ち、語り始める。

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