真昼の迫真ランド

【SS】Requiem:channel / 161

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相原ガガ美 2022/02/14 (月) 21:42:57 修正

「諸君、私は戦争が好きだ。戦争が大好きだ…。」

数十メートル前まで接近してきたその男は、先程囚人が言っていた通り眼鏡を掛け、肥満体型のその肉体に看守の制服を纏った二足歩行の豚のように醜悪な男だった。
その男は私達に攻撃を仕掛けてくる訳でも無く余裕たっぷりな様子でこちらを見据えて淡々と語り続けるのみだった。

「…おっと、君にはまだ名乗っていなかった。私の名はモンティナ・マックス獄卒七階層(セット・アグザ)が一人。私はこの階層(フロア)の主任を務めている。」

「…モンティナ・マックス看守長、あなたは何故…罪人とはいえこんなに惨い方法で、囚人達を殺しているんですか…?」

「何故殺したか…?それは愚問と言えようお嬢さん!私の行動に目的など無い。ここにいた罪人達は如何にして罪を犯したか、それと同様だ。ただ一つ違う点があるとすれば…私はこの地上で行われるありとあらゆる戦争行動が大好きだ。」

「戦列を並べた砲兵の一斉発射が轟音と共に敵陣を吹き飛ばすのが好きだ!
空中高く放り上げられた敵兵が効力射でバラバラになった時など心が躍る。
戦車兵の操るティーゲルの88mm(アハトアハト) が敵戦車を撃破するのが好きだ…!
銃剣先をそろえた歩兵の横隊が敵の戦列を蹂躙するのが好きだ!!
恐慌状態の新兵が既に息絶えた敵兵を何度も何度も刺突している様など感動すら覚える…。
敗北主義の逃亡兵達を街灯上に吊るし上げていく様などはもう…」



「…もうそれ以上聞きたくない!!」

私は反射的に叫んだ。この男の口から語られる言葉の一つ一つが反吐が出る程の嫌悪感を発していた。

「…あなたは狂ってる…!この国の独立戦争の事なんて私はちょっとしか知らないけど、あなたはそんな戦火で儚くも散っていった命を侮辱している…!」

「ン〜〜〜〜〜?ブ・ジ・ョ・ク?何だか耳が遠くて聞こえないぞ〜〜?今こうしてこの国に築かれた"平和"を再び乱そうとする罪深きテロリストの君が倫理を語るのかね?発言と行動に筋が通っていない幼稚な正義を振り翳すのは(はなは)だ滑稽!」

「…確かにあなたの言う通り、これはわたしの…幼稚な正義感です。だけど、この"あなたを嫌い"だと思うこの気持ちだけはどうしようもなく純粋で本当の気持ちです。」
「これ以上あなたの好きにはさせません…!!」

「…よろしい!ならば"戦争"だ!!」

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