真昼の迫真ランド

【SS】Requiem:channel / 160

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相原ガガ美 2022/02/14 (月) 20:20:15

『…もう直…ズザッ…厄介なザザァ…がお前の所に…来る。』

『厄介…?敵ですか!?もしかして看守…。』

『お…灰……?ザァッ、電…の調…がザザッ…もう……言って……。』

『…ミッキーさん!ごめんなさい!電波の調子が悪くて…もう一度お願いしま……』

『……………………………………。』

「…切れちゃった。」

そういえば今ミッキーはどこにいるのか聞きそびれてしまった。
私はもう、一人で居るのが心細いし寂しいから、今すぐ誰かと合流したい気持ちでいっぱいだった。
今私がいるのは階層(フロア)4の監獄棟だから下階に降りればホーモォや未来羽いろと合流できるはず、だから私は下階へと通じる階段を目指すことにした。
回廊を奥へ奥へと進んでいくと、次第に血生臭い虐殺の臭いが増していった。
辺りにはそこ彼処(かしこ)に弾丸で開けられた穴の中から腸をはみ出した死体、自分が死んだ事にも気づかない様子で生前の恐怖で引き攣った顔を留め横たわる死体、そこには確かに"何者か"が囚人達の虐殺に愉悦を感じていたその痕跡が否が応でも残されていた。
先ず、私と同じ外部からの侵入者の仕業かと疑ったが、私達の中に銃を携帯していたメンバーは一人も覚えが無かった。
そもそも私達の計画は『捕われた未来羽いろの解放。そして、この大監獄パノプティコンを制圧し、囚人達を野に解放しこの国に混乱を齎す。』事で囚人達に敵対する理由に心当たりが無い。

「お、お嬢ちゃん…?看守…?じゃないよな?助けてくれ…」

辺りに散乱した死体の中で生存していた囚人の一人が私に助けを求める。

「はい…!私は外部から皆さんの脱獄を手伝いにきた者です。どうしましたか…?」

「殺しを愉しんでいる奴がいるんだ…!眼鏡を掛けてだらしない腹の看守だ…!この混乱に乗じて俺達を"粛清"だとか言ってついさっきから手当たり次第にこの階層(フロア)の囚人達を殺し始めた…!アイツは…」


「諸君、私は戦争が好きだ!」

突然、静寂の中を突き抜ける様な甲高い声が回廊の奥から響いた。

「…アイツの声だ。もう終わりだ…。」

下半身を負傷したその囚人の男の顔が以前にも増して蒼白と、生者の様相が崩れていくのを見ると
私は情け無く、これから訪れる恐怖に全身を震え上がらせた。

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