真昼の迫真ランド

【SS】Requiem:channel / 147

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相原ガガ美 2022/01/22 (土) 20:51:58

なんて言っちゃったけど…
ホーモォが私に課した任務は『ミッキーの手伝い』
(ケージ)から脱獄した無統制の囚人達にこの大監獄の出口を伝える…私にできるかなぁ…

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なんて事を考えながら先刻(さっき)まで人気のあった感覚を残して寂れてる階層(フロア)6の監獄内を歩き回っていると、開錠された檻の中で私と大差ないくらいの歳の女の子が外界を拒絶するように塞ぎ込んで蹲っているのと
放心しているのか、宙の一点を見つめて茫然自失で胡座を掻いているの金髪の男が居るのに気がついた。

「あのっ…私、外部から侵入してきた者なんですけど…」
「出口はこの廊下の奥の階段を登っていって、階層1の職員用出口を使ってください!この方法が一番安全で…」

「…うるさいよ。」

「えっ…」

「きみ、茗夢の手伝いしてるんでしょ?言われなくても分かるから。」
「でもあの人は嘘つきだよ。あの人は一時私に手を差し伸べてくれたけど、結局すぐに見捨てられたから。あの女は他人の心を弄ぶのが好きなだけ。」

「でも茗夢さんはまたあなたを助ける為にこの騒ぎを起こしたかも…しれないですよ…?」

「私、もう信じないよあんな奴。それに…例えこの監獄から出られたとして、外の世界だって生き地獄じゃん。」
「こんな世界で、こんな姿で、こんな心で…産まれ堕ちたから、心の底から幸せだって思えたことなんてほんの少しも無かったから…」

何も言い返せなかった、私が彼女の放った言葉に痛い程共感してしまったせいだ。
生まれ育った境遇も、身分も、容姿も異なる彼女が私と似通った感情を抱いて、この世界に絶望して、時間をかけて腐って朽ちていったその姿を見て、憐むことすら許されないような気がした。

「…なぁ、灰色の髪のキミ、もしかして…ショコラテリア?」

不意に声を掛けてきたのはついさっきまで茫然自失で居た金髪の男だった、前髪は両目が覆われるまで伸び切っていて、掌にはスマイリーフェイスを模したタトゥーがある。
この特徴…もしかして…
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「は、はいっ!名前は灰菜と言います…あのっ、もしかしてあなたは…」

「あぁ、キミの想像通り僕が未来羽いろだよ。」
「"東の九龍月華会(クーロン・ゲツガカイ)"のね、ヨロシク⌣̈⃝灰菜ちゃん♪」

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