真昼の迫真ランド

【SS】Requiem:channel / 146

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相原ガガ美 2022/01/15 (土) 22:34:49 修正

茗夢遊戯が嵐の様に去って行って暫く経った後、コツコツと何者かがこのモニタールームに歩みを近づける足音がした。

「看守、かな?」

そう言って長ドスを構えてドアの前で風船が警戒し始める。

「いいや、足音からしてヒールだ、看守はヒールは履かん。」
「とすると…いよいよ本命のご到着か。」

バタンッ
「ご機嫌麗しゅう、紳士淑女の皆様!」
「お初にお目に掛かるお方は初めまして、ワタクシがリファエルよ、以後お見知り置きを。」


画像1



ホーモォの予想通り、現れたのは今回の計画の要とされるリファエルという人物だった。
ツーサイドアップの金髪ツインテールで髪の先端は緑がかっている。
黒を基調としたゴスロリを身に纏っていて、この無機質な監獄にはとても似合わない奇抜な格好をした…女?で合ってるよね…。

「はっ、初めまして…!私、灰菜と言います。」

「…風船、だよ。よろしく。」

「ホーモォは勿論の事、お二人のこともミッキーから存じていましてよ!」
「さて、社交辞令もこの程度に。ワタクシは早速任務に取り掛かりますわ!」

リファエルはそう告げるとすぐさまモニターのある壁の方へと足を進めると、モニターを操作する機械を肉眼でも追いきれない素早い手付きでタイピングを始める。

「どれくらい掛かりそうか?リファさん。」

「そうね…現状は教組様のお戯れでMFT(対断片者)ガスの散布は停止、囚人達の(ケージ)のロックももう既に解除されているわね。先程ワタクシがフロア6内部の監視映像記録をダミーに差し替えたのですが…お相手も既に異変を検知しているようなら他の階層のセキュリティシステムをハッキングして攪乱する方が得策かしらね…」
「そうしますと…早く見積もって15分ってところかしら?」

す、凄い…この人…!
…意外と真面目だ。

「了解した、流石リファさん、仕事が早くて助かるぜ。」

「オホン。そんなにおだてても、何も出なくってよ…///」

「つー訳でお前らは次の仕事に移れ。風船はテメーらのとこのボスを迎えに行ってやれ」

「言われなくても、そうする、つもり。」

「灰菜はどうする?ここに残って俺と一緒にリファさんの護衛をしていた方が安全だが…。」

「うーん、私は…」

いつも私は、皆の荷物になって不甲斐ない。
この前ミッキーと一緒に狙撃手と邂逅した時も、ミッキーが居てくれなかったら、私はここに居なかったかもしれない。
だからもう弱虫の灰菜は、今日で卒業するんだ。

「…私にできる事を、がんばります。」

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