真昼の迫真ランド

【SS】Requiem:channel / 143

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相原ガガ美 2022/01/08 (土) 23:02:35

ふと看守の女の亡骸を見遣る。

「へぇ、女看守の制服意外とかわいいじゃん!これが終わったら貰っていいー?」

「…下衆が。はる看守長の尊い命を奪った罪はここで償え。」
「───()(くる)め、"胎綿(ハラワタ)"。」

『ポッテ』と呼ばれた看守長がそう言って指揮者が指揮棒(タクト)を振るうような手付きで巨大化した裁縫針のようなレイピアを翳した。

「なんかカッコつけてるところ悪いけど、何も起きないじゃん。」

「"何も起きない"と言ったな、それは少し違う。」
「"何も起きない"のは貴様が既に"何も出来ない"状態になったからだろう?」

「…!?」

手脚が動かない、正確には両肘と両膝の関節が衣服に締め付けられているような感覚。

「この部屋に着いてから既に私は貴様の衣服の"パッチワーク"を仕掛けていた、ステッチをしている間はこの"胎綿"は透明になる性質でな。」
「今こうしてこの"胎綿"が顕現したということは即ち、貴様の纏う衣服が強靭な拘束具と化した合図だ。」

私の不死の断片(フラグメント)は殺傷能力の高い断片(フラグメント)に対しては優位に立てる場合が殆どだけど
ポッテという看守長の断片(フラグメント)の様な「相手の身体を拘束する」系統の断片(フラグメント)に対して滅法相性が悪い、何故なら抵抗する術が見つからなければそのまま私が無力化されかねないからだ。

「アハハっ、こりゃ一本取られたね。やるねぇポッテ看守長。」

「フッ、最初からこの様に私の断片(フラグメント)で茗夢遊戯を厳重に拘束しておくべきだと善影監獄長に進言したのだがな…まぁいい。」
「雷電看守長、フロア6の警備システムを復旧させろ。」

「その必要、無いよ。」グサァッ

勝利を確信していたポッテの胸部を突如として漆黒の暗闇から現れた拳が貫通させた。

「…がはっ!…馬鹿な…何者だ…貴様はっ…。」

「おやおや、看守長殿の下には連絡が行き届かなかったのか?」

出入口の漆黒から得意げにそう話して姿を現したのはこの監獄には相応しくない派手な黄金色の衣装を纏う、西部街(ウェストシティ)に暗躍する享楽主義的組織のNo.2、ホーモォだ。

「拘束していたSレート:風船が脱走しちまってな…偶然この場まで風船を追い詰めたって訳よ。」

「ホーモォ、こいつ、もう殺していい?」

「あぁ、殺せ。看守は1人残らずな。」

ははっ、やっぱり来てたんだ、西部街の不成者達(ショコラテリア)

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