真昼の迫真ランド

【SS】Requiem:channel / 136

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相原ガガ美 2021/12/14 (火) 21:21:38

「ハハッ!これで分かっただろ?スターチスという男はもう既にこの世にはいない。」
「その魂の片割れが宿ったこの鍵がその証拠だ。」

成程、断片(フラグメント)という奇跡が存在するこの世界ではこのネズ公が語った昔話もあながちただの御伽噺(フェアリーテイル)として片付けるには早計だったのかもしれない。

「ははっ、そうかい…参ったなアンタには…。」
「だが、それは教祖の一件でスターチスの断片(フラグメント)が観測された事についての説明にはなっていない。」

「ハハッ!少しは柔軟に頭を使ってくれると助かるんだがな野蛮坊や。」
「これは仮定の話だが…あの時、その場に"死者の断片(フラグメント)を使役する"断片者(フラグメンター)が居たとしたら…?全てに納得がいくんじゃないか?」

「…ッ!?」

"死者の断片(フラグメント)を使役する"断片者(フラグメンター)…そんな噂は一度も聞いた事も無いし、仮に存在したとしてその力は個人が持つにはあまりにも強大すぎるシロモノだ。

「アンタの仮定には無理があるな。もしあの場に"死者の断片(フラグメント)を使役する"断片者(フラグメンター)が居たとすればもう少し有効的にその力を扱うことができるはず………まさか!?」

「そのまさかだよ。ハハッ!気がついたか、それはいい事だ。仮定には仮定を重ねるべきだ。」
「"死者の断片(フラグメント)を操る"断片者(フラグメンター)はあの時あの場所でその瞬間に、その力に目覚めたとしたら…?」

ご名答か、溝鼠の代弁した仮定が正しければあの時何故この世にはいないスターチスの断片(フラグメント)が現れたのか、そして何故あの時観測された鍵の断片者(フラグメンター)が発見されなかったのか…その全ての疑問に納得が行く。
そしてあの時断片(フラグメント)の目覚める引き金(トリガー)を引く必要があった人物を絞り込めば…

「驚いたな溝鼠、アンタには最初からこれも全てお見通しだったのか?」

「ハハッ!買い被りすぎだ、俺はただお前の話を聞いて咄嗟に思いついた作り話(ジョーク)を披露しただけさ。」
「さて、談笑も程々にしてお開きにしようか。野蛮坊や。」

「気が合うな悪党の親玉旦那、俺も丁度晩酌がしたい時頃でな、ここらでお(いとま)させてもらうぜ。」

「忘れるなよ、会合の件について口外すればお前の命もそこまでだ。俺は何時でもお前を"視て"いる。ハハッ!ただしそれ以外はお前の好きにしろ。」

「ハハッ…そうさせてもらうよ…俺は長生きしたいタチなんでな。」
「あぁそうだ、最後に1つ質問があった。」

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