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【SS】Requiem:channel / 132

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相原ガガ美 2021/12/05 (日) 21:29:37 修正

葉は枯れ落ち朽ちた木々の森、行く手を阻む枝葉を先頭を歩く溝鼠が払い除けながら
"スターチスの居所"へと俺達は道なき積葉の上をひた歩く。

「さぁ、いよいよアイツの居所へ着く頃合いだ。」
「気持ちの準備は出来たか?殺し屋。ハハッ!」

「あぁ、言われずともな。」

せめてもの情けで、"今のうちに精々、同胞の葬儀の用意をしておくんだな。"なんて皮肉を飛ばしてやろうと思っていた束の間
開けた場所、ただ所々積葉が重なる広場のようなその場所には、"ソレ"を取り囲むように周囲の木々が円状の聖域(サンクチュアリ)形作(かたちづく)っているかの様だった。

十字架の墓石、そこに佇んでいたのは悪者の根城(アジト)でもなく、森の静寂を好むやたら図体のデカい怪物でもない、何の変哲もないありふれたレディメイドの墓石。
墓石には古代に彫られた象形文字の様に不恰好な字体の彫字で「スターチス・プリエラ=シィエロシューズ」と記されていた。

「ご到着だ、野蛮坊や。ここが"スターチス"の居所だ。」

いや、まさか、嘘だ。そんな筈は無ぇ…!
何せスターチスという男の暗殺の通達を寄越したのは上層部、即ちこの国の運営者『管理人(アドミニストレータ)』直々の指令だ。
それにスターチスの断片(フラグメント)があの教祖の一件の最中、観測されたのは紛れも無い事実として記録されている。

「フェイクだ…大方溝鼠(アンタ)の未来予知で俺が現れる未来を察知して急拵えで用意した紛い物の墓だろう?」
「その墓標の下に埋まっている白骨化した亡骸も他所様の墓から掘り起こした仏様ってトコロだ。違うか?溝鼠。」

「つまらない推理をするなよ、野蛮坊や。」

仮面で覆われたその顔では表情も判別できなかったが、先程の会合の場所とは一転して神妙そうな口振りで否定する溝鼠。

「どれ…それじゃあここで一つ、その墓にまつわるおもしろい昔話を聞かせてやろう。」

溝鼠は有無を言わせずに淡々とした口調で"その墓にまつわるおもしろい昔話"とやらを語り始めた。

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