真昼の迫真ランド

【SS】Requiem:channel / 12

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ちゃむがめ 2021/06/23 (水) 03:10:53 修正

地下駐車場から彼らの言う目的地まで向かうこと約5分、ミッキーとホーモォは一軒の喫茶店の前で足を止めた。
足元に広がる路地裏の常闇を店内のガラス越しに照明が仄かに照らしている、喫茶店の名は星野珈琲

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喫茶店の中へ入るとそこにはごく普通の装いをした店のマスターがカウンターの前に佇んでいた。
カウンターの端には何やら独りぶつくさ呟いてる先客もいる。

「いらっしゃい。」

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店の店主は眼鏡を掛け、シワ一つないTシャツの上から黒いサロペットを着用し、檻の中を出たばかりの私の目には今までに目にしてきた誰よりも"マトモ"そうな第一印象を受けた。

「ご注文は?」

「コーヒーを3つ、ミルクも淹れてくれ。角砂糖は"8つ"」

「かしこまりました。それじゃこちらへ、新入りのお姫様もね。」

そういうと彼は店奥の上り階段へと私達を案内した。

「ところでそのお姫様、お名前はなんて言うんだい?」

「…灰菜です、初めまして…!店長さんは…」

「僕は星野源、星野でいいよ、これからよろしくね。ところでミッキー灰菜ちゃんの部屋のことなんだけど」

「ハハッ!分かってる。"モノクロム"の部屋を使う」

その時ホーモォがこちらに憐みの視線を向けながら呟く。

「よりによってあいつの部屋か、灰菜には不憫だな」

「大丈夫!僕がさっき掃除もしたし、灰菜ちゃんのために彼女が着ていた服も仕立て直しておいたよ、ヤテツくんの服も少々拝借しておいたからね。年頃の女の子なんだからお洒落くらいはさせてあげないとね。」

「なんつーか、悪趣味な服しか残ってなさそうだが、灰菜が今着てるボロキレみたいな布よりかはまぁマシだしな」

「今来たばかりなのに、そんなにしてくれるなんて…星野さん色々ありがとうございます…」

「ハハッ!世話焼きがこいつの趣味なんだ、あまり気負いはするな」

「ははは…まぁそうだね、ひとまず今夜は解放されたばかりだし、イかれ男2人とのドライブで疲れてるだろうしシャワーでも浴びてゆっくり休むといいよ」

「ありがとうございます…!!それじゃあ今夜はおやすみなさい」

「そんじゃ、俺らもぼちぼち寝ますかね。明日もまた忙しくなるんだろ?ミッキー」

「あぁ…そうだな。明日に備えて養生しててくれ、それじゃあ、な。ハハッ!」

各々が割り当てられた部屋へと戻っていく、私もかつて"モノクロム"という住民が生活していたであろう空き部屋へと向かった。

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