真昼の迫真ランド

【SS】Requiem:channel / 114

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相原ガガ美 2021/10/13 (水) 22:12:34 修正

「ハァ…ハァ…クソっ。」

夜宵エマとの戦闘で体力を消耗しすぎた。
大水木は無事に逃げられただろうか、救援は間に合っただろうか。
そういえば、海斗は────。


パチパチパチ…

前方から近づく余裕ぶったような拍手の音。

「アハハ、キミ凄いね。エマちゃんが断片(フラグメント)を使い熟せていなかったとはいえ、本当に倒しちゃうなんて、面白い子。」

失念していた、教祖の存在。

「教、祖…お前…海斗は、どうした…?」

「さっきまで遊んでたけど飽きたから壊しちゃった、だからコレ、キミに返すね。」

教祖は片手で引き摺っていた人の形をしていた肉塊をこちらに差し出す。
それは確かにあのヒーロー気取りだった海斗の面影を残していて、スーツのプロテクトも殆ど剥げ落ちて、それらがヒーロー気取りの青年を痛めつけた教祖の一方的な虐殺の痕跡を物語っていた。

「外道が…。海斗も泥棒猫も…そしておれ達も、お前にとっては退屈凌ぎの玩具でしかないのかよ。」

「それは少し違うかな、玲羽少将君」
「キミが気づいていないだけでこの世界には自分の欲望の数だけ色んな享楽が溢れているんだよ、法や倫理、道徳なんて壁を取り除けば私達は欲望を満たし、享楽の甘美を貪ることができるのだから。」

「それはお前ら無政府主義者(アナーキスト)の犯罪者共の詭弁だろ…!」
「少なくとも、この国には…他者の尊厳を踏み潰してまで得られる享楽なんて物は存在することその物が許されないはずだ…!」

「…キミって本当に何も知らないんだね、流石に私も苦笑しちゃうよ。」ニコッ
「今キミ達が踏み締めている"自由"が一体幾万の亡骸の上に立つハリボテの城なのか。断片者(フラグメンター)の由来は、そして国が"回収"した断片者(フラグメンター)達の行く末と末路──、それらについて少しでも考えたことがある?」

「それは…」

悔しいけど、今まで生きてきてそんなこと考えようともしなかった。
いや、知らない方が幸せでいられるような気がしてずっと知らずに生きていただけだ。

「ま、一端の平局員には少し重い話題だったかな。」ニコッ

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