真昼の迫真ランド

【SS】Requiem:channel / 112

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相原ガガ美 2021/10/05 (火) 21:36:59 修正

「それならさっさとここで死に腐れ!!骸骨野郎!!」


怒りで我を忘れた泥棒猫の躯体が大水木からおれへと標的を変えて獲物に飛び掛かる猛獣の如く飛び掛かる。

おれはすかさず右手から剣山の様に出鱈目(デタラメ)に骨の刃を突出させて迎撃に備える。
だが、泥棒猫の躯体はおれの予測も越えた速さでおれの(ふところ)まで到達して、骨の刃でコーティングされていない右腕の手首と肘に掴み掛かり両脚で未だに傷の癒えない腹にドロップキックを炸裂させる。

「ぐあっ…」

「…妙な手応え…もしや、骨の断片(フラグメント)で腹部をガードした?」

「…ったりめーだろ、急所は守る、戦闘の基本だろ。」

「そう…それじゃあいっぱい痛い目見せてあ・げ・る!!」

泥棒猫はおれに休む暇を与える間も無い、無数の殴打と蹴りの応酬を続ける。
攻撃のダメージを抑える為、おれは体を骨で覆っているがこの場合体重に負荷が掛かり動きが鈍くなる。
断片(フラグメント)で身体能力を強化している泥棒猫相手なら尚更その速度の差は顕著に現れる。

ゲームに喩えるならおれは鎧と盾だけを装備して防御力だけを上げた戦士、そして泥棒猫は剣と腕輪を装備した攻撃力と素早さを上げた盗賊。
このままでは防戦一方で戦士は盗賊に敗れてしまう。

「あれぇ?どうしたの?さっきまでの余裕は?」
「まさか、あの女の子の目の前だからってカッコつけただけ!?ウケる〜」

「…んな訳ねーだろ、バカがよ」

泥棒猫は再び勝利を確信したのか、攻撃の手を止め調子良さそうにおれを挑発する。
おれの方はというと泥棒猫の攻撃を喰らい続けていたのと、断片(フラグメント)をオートで使い続けていたのでヘロヘロのもやしだった。
恐らくこの隙が打開策を練る最後の好機(チャンス)だ。
泥棒猫の機動力に左右されず、尚且つおれの断片(フラグメント)で確実に泥棒猫を倒す方法…………そうか。


思索の末、辿り着いた答え、それはたった一つで、とってもシンプルで、そして最も卑怯で残酷な方法だった。

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