真昼の迫真ランド

【SS】Requiem:channel / 105

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ちゃむがめ 2021/09/11 (土) 21:52:51 修正

「なんで…私の家に…何者ですかあなた達…」

夜宵エマは案の定とうとう自分の犯した罪が管理局員達に暴かれてしまったのかと言わんばかりに怯えた様子で震え声を絞り出すのがやっとの様だった。

「管理局員の者です、単刀直入に言います。あなたには近頃この近辺で多発している嗜好品の強奪事件の犯人、通称泥棒猫の容疑が掛けられています。今すぐ我々と共にミーバネルチャ管理局東部街(ウェストシティ)支部までご投降願えないでしょうか?」

「知らない…知らないっっ!!私…そんなことしてない!!」

「この部屋にある(おびただ)しい酒類や薬瓶の数々がそれを裏付けています、よって容疑者であるあなたには事情聴取を受けてもらう義務があります。」

「ふざけんな!!!」

着々とその疑いの地盤が固められていく様に耐えかねたか、夜宵エマが突然ヒステリックに叫び声に近い怒声を上げる。
大水木は突然の出来事に体をビクつかせ、海斗の方はと言うと「やれやれ」といった様子で呆れて首を傾ける。
往生際の悪いクソ(アマ)が…癇癪(ヒス)持ちの女を見ると幼い頃に散々見せられた母親の姿を思い返して胸糞が悪くなる。

「知らない知らない知らない!!そんなの覚えてないもん…覚えてないから私じゃないもん…」

すると夜宵エマはポケットからあの日に行ったタピオカ屋の壁に似た色の剃刀を取り出し(おもむ)ろに刃を左手首に向ける。

「血迷ったか…!大水木自傷行為(リスカ)を止めさせろ!!海斗、対断片者(フラグメンター)用の手錠の準備を!!」

「う、うん…!」
「了解しました」

「エマさん、落ち着いてください…あなたが例え何らかの罪を犯していたとしても例えそれは自分の体を傷つける理由にはなりません…だから…」

「近寄らないでよ!!!もうそういうのはうんざりなんだから!!」

「…っ!?」

本日二度目の癇癪(ヒス)だ、夜宵エマをなだめながらそばまで歩み寄っていた大水木を夜宵エマは右手に持っ剃刀を振りかざして追い払う。

「そうやってみんな法律だとかモラルだとかで私の全部を否定するんだ…私の気持ちを何も分かろうとしないで…それが間違いだからって…だから私みたいな人は間違ったままこうやって大人に近づいていくんだ…」

泥棒猫の独白の末、玄関口に立っていた彼女の姿が消えたかと思った直後、有無を言わさぬ(はや)さで大水木の腹を右脚で蹴り上げる。

「ぐっ…!?はぁ……!!」

大水木の身体が勢い良くベランダのガラス戸を突き破り宙に投げ出される。

「だけど茗夢が肯定してくれた、私が今まで犯した過ちも全部引っくるめて、受け入れてくれた。だから私は茗夢だけを信じるから!!」

「海斗!!大水木を頼む!こっちはおれで何とかする…。」

「……了解!!」

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