真昼の迫真ランド

【SS】Requiem:channel / 104

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ちゃむがめ 2021/09/03 (金) 23:36:18 修正

ピンポーン♪

チャイムの音も(むな)しく203号室からは一向に部屋の主が応じる様子も無く沈黙を続ける。

「管理局員の者です、近頃この辺りで多発している強盗事件についてお伺いしたいことがあるのですがー…ってこれもう12回は言ったよな。」

「お言葉ですが班長、これで計17回目です。」

「…マジかよ、クソ…しゃらくせぇ!」

ピンポーン♪ピンポーン♪ピンポピンポピンポピンポ…♪

「うるさいわぼけ!アホ!バカ班長!」

「止めてほしいならもう鍵開けて先に突撃の合図かけてくれよ、おれの代わりに」ピンポピンポピンポ…

「ひどい…あとで女性差別で訴えます…」

大水木はそう言って事前にこのアパートの管理人から預かった合鍵を嫌々そうに鞄から取り出し鍵穴に差し込む。

(行くよ?3…2…1…)

大水木が勢い良くドアを開け、先におれと海斗が拳銃を構え部屋に突入する。


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ドアを開けるとそこには至る所に物という物がとっ散らかっていて、鼻を突くような酷い空気が漂っていた。

「やはりモヌケの殻の様ですね。」

「これじゃ隠れられる様な場所もないしな、何か手がかりになる物が残ってたら押収しとけ」

「ねぇ、玲羽見てよこれ…」

大水木が指差す方向を見遣(みや)るとそこにあったのは尋常じゃない量の風邪薬の空き瓶の入った段ボールだった。

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そのどれもが泥棒猫に盗まれた物品と全て一致していた。
これで夜宵エマは容疑者候補(グレー)から完璧な"容疑者(クロ)"になり、おれ達の予感は確信へと変わった。

「レシートも無いし間違い無く盗品(ブツ)だな、大水木これ証拠物件として押収していてくれ。」

「全く、人使いが荒い班長ですね!まぁ持っていきますけど…って、え…?」

「ん?どうした?大水木?」

振り返ると大水木の視線の先、ドアの外に立ち尽くす一人の少女
片手に黒猫の仮面を持ち、顔は青白くやつれている。
…間違い無い、レートA:泥棒猫、夜宵エマだった。

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