真昼の迫真ランド

【SS】Requiem:channel / 103

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ちゃむがめ 2021/09/03 (金) 22:38:34 修正




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「…本当にここで合ってるよな?」

ヤテツから受け取ったメモ書きに書かれていた通り車を走らせ(のち)、辿り着いたのは雨風で朽ち果てて焦げ茶色に変色し、ひび割れた鉄筋コンクリートを錆びつくトタン屋根が覆う、(ハタ)からみれば廃墟も同然のアパートだった。

「はい、永井哲也氏から頂いた情報が確かならこのアパートの203号室に夜宵エマが居住しているはずです。」

「だよな…早速突入するか、ラブホでチンタラやってるるるたとゆきだるま(クソガキ共)にも一応報告しといてくれ。」

「ていうか玲羽、さっき言おうと思ってたんだけど未成年にラブホの調査させるのってコンプラ的にまずくない?」

「あっ…(忘れてたわ)いや、いやいや!仕事だぞ!仕事だから多少の規律違反も止む無しだろ、管理局員なんてそもそもそういう汚れ仕事だろ。」
「それに…まぁ、こういう風に班を分けたのも…だな…」

「"追跡者(チェーンサー)"である俺と瑠々田(るるた)の監視、でしょう班長、違いますか?」

おれの見苦しい言い訳を遮るように海斗が言う。

「まぁ、ぶっちゃけるとその通りだ。」

各地で頻発する野良断片者(フラグメンター)の犯罪発生率に対しておれ達管理局員の人材不足は深刻だった。
そこで管理人(アドミニストレータ)が取った策は先日の「対アザミ水際作戦」で捕えた断片者(フラグメンター)達を即戦力として我等が管理局員に加える、という博打的な計画だった。
その名も「首輪の付いた追跡者計画(チェーンサー・プラン)
そして管理局員として配属された元囚人の断片者(フラグメンター)達は追跡者(チェーンサー)と呼ばれることになった。

「案ずる必要はありませんよ、俺も瑠々田も妙な真似はしませんから」
「貴方の腕輪に取り付けられたその忌々しいスイッチが存在する限りは。」

管理人(アドミニストレータ)もその計画のリスクを放置する程馬鹿じゃない、追跡者(チェーンサー)となった断片者(フラグメンター)達には束の間の自由が約束される代わりに文字通り首輪が付けられた、それはスイッチを押せば内装された刃が頸動脈を切り裂き、体内に致死性の毒が回り、そして爆発する。首輪を付けた者に対して十分過ぎる程殺意に満ち溢れたとんでもないシロモノだ。
班に配属された追跡者(チェーンサー)ごとに割り振られたスイッチは原則として班長が一つ、万が一の予備として班長以外の正規の局員がもう一つ肌身離さず持ち歩いてるという訳だ。

「おれだってスイッチ一つで他人の命を奪うなんて"独裁者"めいた真似したくねぇからな、勘弁してくれな。」

「はい、勿論ですよ班長殿」
「さて、無駄話もこれぐらいにして行きましょうか」

「…そうだな。(追跡者(チェーンサー)が偉そうに仕切るな、カス)」

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