知佳
2023/12/06 (水) 17:15:40
c885e@909a7
50を過ぎた人妻がときめくとき
竹本久美子は50歳にして、生まれて初めて心躍らせていた。 昨年嫁いだ娘の服を処分しようと思い立ったが、もったいなくて捨てられないでいた。 「ねえ佳奈ちゃん、あんたの残していった服、どうしたもんかねえ」 狭いながらも一戸建ての我が家、その我が家を疲れ切った亭主のために少しでも広く使おうとしたが、納戸は娘 佳奈の服で溢れかえっていたのだ。「ええ~……どんな服だっけ? う~ん……それって、小さかったころの服とかも混じってない? ウチ、もう着ないんだからそっちで処分してよ」
旦那様のことで手一杯と言った風な言い回しに、残されたものの寂しさを感じずにはおれなかった。
「育ててあげた恩は忘れ、旦那旦那か……」
やるせない思いに、独り語ちた。 親の立場からすれば、如何に憎たらしい口を利かれたにしても、思い出がいっぱい詰まっていて捨てるに捨てられない。 どうしたものかと、ぼんやりテレビを見ていた目に、リサイクルショップの文字が飛び込んできた。
(…そうよ、そうだわ。 自宅にいるときは誰も見てないんだし、似合う服を探し、それを着て過ごせばいいんだ……)
いくら安いとはいえ、他人が袖を通した服を、それも生活費を削って買って、着飾って出かけるなんて、夫に申し訳なくてできそうにない。 そう思い込んでいた矢先の閃きだった。
https://letsgochika.jp/blog-entry-19723.html
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