知佳
2023/11/15 (水) 14:35:14
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秘かに島内に帰ってきていた美咲
美咲は逃げるように小倉に渡り、以前の職業に就こうとし勤め先を探したが、生まれ育った対馬や給与班のことが忘れられず、さりとて行き場がなくターミナル付近を彷徨っていた。
丁度そこに用事を終えこれから対馬に帰ろうとしていた仁田の翔太と出くわした。 小倉に向かう船で一緒に6時間近く過ごしていて、同じ島出身ということもあり、すぐに仲良くなった。
美咲は何故かひとりでに足が動き、翔太の後を追っていた。 漁民として暮らすのが嫌だと言った美咲に翔太は、それなら農民として生きてゆくのはどうかと提案してくれていたのだ。
幸いなことに仁田には民宿も何軒かある。 翔太となら或いはと、美咲は思い切って彼に連れられまた、対馬へと引き返した。 比田勝に着くと誰にも見られないよう翔太の背中に隠れるようにしながら仁田行きのバスに乗った。
民宿で午前中は躰を休め、午後になるとふらりと翔太の畑を訪れた。 彼のことが心のどこかに引っかかっていたからだろう。
翔太は福岡に出向き、学んで来た技術をもとに畑の土と戦っていた。 薄紫色に咲いているのはジャガイモの花だろうか。 美咲は翔太を呼ぶこともなく、農道に佇んで翔太の働く様子を眺めていた。
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