知佳
2023/11/12 (日) 13:19:44
c1aed@909a7
島に別れを告げていた高浜
「そんな理不尽なことがあってたまるもんですか!」
加奈子は電話口に向かって泣き叫んだ。 脇本商店の売り子のことを、せめても高浜にだけはわかってもらいたかったのに、その高浜はすでに自衛隊を退職し実家に帰ったと、電話口に出た当直隊員が乾いたような声で告げたのだ。
加奈子と美宇田浜で出会ったとき、高浜は獲れたアワビを仲間に配るんだと張り切った声で言っていたが、加奈子はその意図を理解できずにいた。
美宇田浜で加奈子に食べさせた残りのアワビは退職に際し、何かの記念になるよう無理して獲っていたのだ。
離島で青春などということに背を向け勤めあげるのは並大抵のことではない。 離島に閉じ込められる、たったそれだけのことで精神を病む。 それを忘れさせてくれるのが、例えば脇本商店の売り子さんのような存在だ。 ところが、島にいる女の子には以前も述べた対馬独特の習慣が付きまとう。
好きな子が出来たとし、本人同士はそうと知らず付き合っていても、周囲がそれを許してくれているとは限らない。 ライバル他者はそれをよいことに、地元民に取り入って裏から手を回し横取りしようとする。
恋愛問題ではないにしろ、高浜はそういった軋轢に負け、自ら退職を選び島を去っていた。
https://letsgochika.jp/blog-entry-19684.html
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