知佳
2023/11/07 (火) 13:48:32
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隣村への蔑視
加奈子は西郷どんと別れて間もなく、道に迷うことなく泉集落に入ることが出来た。 ターミナルの人が、説明してくれようともしなかった集落のひとつだ。 通ってみてなるほどと思ったのは比田勝ほどではないにしろ、そこここに確かに住民は行き来してはいるが、揃いもそろって加奈子の姿を見ると何故か一目散に家の中とか物陰に隠れてしまう。
やっと地元の若い漁師さんを捕まえて場所を訊くことが出来たが、
「うん? どこな? どこへ向かいんしゃる?」
男は魚を扱っていて汚れたであろう手を、腰にぶら下げたタオルで拭きながら加奈子に躰を摺り寄せるようにし尋ねた。 加奈子は観光パンフレットの地図を見せ、予約を入れてある民宿を指し示しこう述べた。
「ここです。 この、大浦さんって方の民宿です。 この道に沿って進んだら辿り着けますか?」
ごく普通にものを訪ねたつもりだった。
ところが男は当初地図を覗き込んでくれてはいたものの、その場所が鰐浦とわかったところで地図から目を離し、ついでに加奈子と距離を置き、大浦という名前を聞いた途端、あっちへ行けという風に手をヒラヒラと横に振ってこう言った。
「知らんとばい、そげん地図持ってとらすけん、そうじゃなかとか?……目と耳があっとじゃけん、自分で探しんしゃい」
https://letsgochika.jp/blog-entry-19674.html
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