知佳
2023/11/06 (月) 14:41:59
fa185@909a7
美宇田浜で出会った西郷どん
ここは確かにきれいな浜には違いないが、道を間違ったように思え鰐浦へ向かうためには誰かに方向だけでも訊くしか手はないと思い、加奈子はきょろきょろとあたりを見回した。 だが、訊こうにも春先とあって海水浴場には人っ子ひとりいない。 諦めてと言おうか居直って水遊びを始めた。 それほど心の余裕を失っていた。 せっかく来たのだから泳ごうと思うのだが、加奈子もさすがに水着は持ってきていなかったので素足になって波打ち際で海水に浸かってはみた。 水はまだ冷たく、とても長時間入る気にはなれなかった。
ついでのことに辺りを散策しようと背後の藪に踏み入りかけてギョッとした。 何かが藪の中をガサゴソと音を立て歩き回っているのだ。 まさか対馬山猫?と音がした藪に分け入り更にギョッとした。 まるでゴキブリの大群を思わせるほど無数のフナ虫がそこにいた。
これほど自然が豊かならひょっとして海岸線にお宝が転がってと、独り語ち。 砂浜の先の岩場にまで足を運んでみると、水面上に水中から何かが顔を出すのが見えた。 ほんの一瞬海水に足をつけただけで飛び上がってしまうような冷水の中で泳ぎまわる人を見つけてしまって驚いた。
地元の漁師なら寒いとか言ってられないかもと、とりあえず水上に顔を出すのを待って目と鼻の先の岩場から声をかけた。
「あの~、すみません。 さっきから幾度も潜ってらしたんですが、何を獲ってらしたんですか?」
https://letsgochika.jp/blog-entry-19672.html
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