知佳
2023/11/02 (木) 18:37:35
d08cc@909a7
訪って来た若い男
上がり框に腰掛けながら、火が点いたように泣き叫ぶ我が子に、艶子さんは懸命になってパンパンに張ってしまったおっぱいを、窒息でもしようかというほど顔に押し付け与えていました。
そのおっぱい、吸うどころか勢い余って噴き出すほどで、息苦しさからか赤ん坊は力なく口を開け、その開けた口元から涎掛けに飲み残しのおっぱいが滴り落ちていました。
「ほらほら、おっぱいだよ。 お願いだから飲んで頂戴」
やさしく語り掛けるように乳を含ませるんですが、赤ん坊や嫌がってそっぽを向きます。 そうこうするうちに仲間連中は休憩時間が終わったらしく三三五五に仕事に戻っていくんです。 艶子さんは焦りました。 赤ん坊がおっぱいを飲んでくれなくて乳が張るだけならまだしも、この頃では腋にほど近いところに妙な瘤状のものが出来、次第に大きくなり始め、深夜ともなると痛むんです。
(……ひょっとして乳癌……まさか、そんな……)
怯えは気持ちどころか性格まで毛羽立たせましたが、悲しいかな立場はあくまでも嫁。 黙って耐えるしかなかったのです。
こうやってたまの休日でも旦那の姑に追い立てられるように昼間は野良仕事に精出す艶子さんにとって、自由に我が子におっぱいを含ませてやれるのは手の空いているこの時間か、夕食を終え家族が寝入る深夜帯だけだったのです。
https://letsgochika.jp/blog-entry-19664.html
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