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知佳の美貌録 更新情報 / 409

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知佳 2024/05/17 (金) 18:01:52 69694@909a7

拐かし (かどわかし) 第七話

 遊女がせがみ、客がつれないこたえを返す。 そんな遊女と客の会話を傍で聞いているうちに、なんとなくお家の様子が分かって来る。

 あるとき、もしかしたらという疑念が起きた。 どうあっても確かめずにおれない。

 新次郎の盃に銚子で酒をそそぎながら、何気ない口調で水を向けた。

「お家のご商売はなんですかい」
「材木屋さ。 もっとも親父は金貸しもやってるがね」
「本所の、長崎橋のあたりとお聞きしましたが…」
「そうさね」
大店の跡取りと名乗ったからだろう。 心なしかふんぞり返った。

「もしかしたら…、 屋号は山鹿屋さんではございませんか」
「なんだい。 おまえ、どうしてそんなこと知ってるんだい」
孫右衛門はここぞとばかりにかしこまってこたえた。

「へっへっへ、なにね。 以前、別な商売をやってたときに、お声かけ頂き、お買い上げいただいたことがございます。 確か立派なお店だったと覚えておりますが。 そうそう、ええっと…。 たしか、旦那は…」
そこから先はとぼけた。

 女郎を買おうかという歳になって、いまだに泊まりはどうのと口出しをする。 さぞかし父親を嫌ってるに違いないと思われたが、

 まさにその通りで、新次郎は嫌な顔をし
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