知佳
2024/05/05 (日) 10:32:59
5d5f0@909a7
ありさ 土蔵の濡れ人形 (改) 第二話 「五客の茶碗」 Shyrock作
当時、商家に住み込みで雇用され、接客や炊事などを行なう女性を女中と呼んだ。 その中でも、特に接客や主人夫妻の身の回りの世話に関わる女性を上女中(あるいは奥女中)と呼び、炊事や掃除などを行い水回りを担当する下女中(あるいは下女)とは明確に区別された。 上女中は下女中よりも上級の職であり、待遇が全く異なっていた。 下女中は通常無給であり一年に一度帰省する際にはわずかな小遣いが与えられた。 貧困に喘ぐ家庭からすれば、子供を一人奉公に出すだけでも、住み込みできて三食付きなので、食いぶちが減ると歓迎された。 ありさはまだ十六歳で新米だったので、下女中の中でも一番下の端下に格付けされた。
仕事は大変忙しく、朝早くから夜遅くまで休みなく、一日中まるでこまねずみのように働いた。
仕事ができるうえに素直でよく気が利く娘であったことから、番頭や女中達からとても評判がよかった。
そんなありさの一挙一動を、柱の影から舐めるようなじっとりとした視線を送る男がいた。
店の主の九左衛門である。
「ふむふむ、仕事はよう気張っとるやないか。ちょっと子供っぽさは残ってるけど、かなりのべっぴんやし、肌はピチピチしとるし、あのおいど(尻のこと)の張り具合はたまらんで」
通報 ...