知佳
2024/05/03 (金) 19:21:31
1eb23@909a7
四畳半での謝礼 ~紫野が幼き頃目の当たりにした母の生きざま~
三郎は和義にああは言ったものの、実際のところ三郎にしても呼び出しがかかると何日も家を空け、ろくすっぽ亭主らしいことはやってこなかった。給与だって今のように振り込みではない。 封筒に明細書を付し上司から本人に直に渡す。 三郎はそのほぼ全てを持って現場から現場へと駆け回り、賭け事に収入の全てを費やす和義の分まで生活費の面倒を見た。 妻には一銭も渡さず。
「千草さんはいつ見てもきれいだなあ。 流石県警きっての腕利き刑事の妻だけある」
「お願いだから今日はよして、あの子が帰りを待ってるから」
千草は漢の元にいた。 細々とながら手当をくれた。 急いで買い物を済ませ、帰ってやらねば淋しい思いをしてると言い張るのに、欣二という鉄工所を経営してる漢は掴んだ手を放そうとしない。
「いいじゃないか、久しぶりなんだからぁ~…。 そんな顔しないでほらっ」
手首じゃ納得しないとみるや、横抱きに抱き着き、唇を求めて来た。
「う~ん、もう…」
こうなってくると気は急くもののオンナが疼く。 ダメだと分かってはいたが、何かあった時頼りになるのはこの欣二というケチな社長しかいない。
「ふ~ん…ああ~ん…んんん…」
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