知佳
2024/05/01 (水) 10:25:07
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ありさ 火消し無情 第一話 「五両の代償」 Shyrock作
<登場人物>野々宮ありさ 野々宮屋の一人娘、十八才
源太 大名火消し、元旗本、二十七才
新八 源太の使い走り、二十二才
野々宮音次郎 野々宮屋のあるじ、ありさの父親、五十三才
その昔『火事と喧嘩は江戸の華』と言われるほど、江戸の町は火事が多く時々大火があった。
燃えやすい木造家屋が連なる家々にいったん火がつくと、なかなか鎮火しない。
現代のような科学的な消防技術がなかった江戸の『火消し』は、火元より風下の家々を壊して延焼を防ぎ、火災の被害をくいとめる破壊消防が基本だった。
水で消したくても桶で汲んだ水ぐらいしかなく、大火に対しては焼け石に水に過ぎなかったわけだから、破壊活動もやむを得なかったのだ。
そのため、長鳶口(ながとびぐち)と呼ばれる草刈りの鎌を大きくしたような道具や、大のこぎりなどを使いこなせる鳶職(とびしょく)などの専門家が火消しの隊員となっていた。
エ~ンヤ~ サ~ エ~
よ~~~お~~ん~やりよ~ぉ~
え~~ぇぇょお~ぉ~ぉ~
木遣りでひきあげる有馬火消し。
「兄ぃ、お勤めご苦労様で」
「おうっ新八、首尾はどうだったい?」
「へい、火事場のドサクサに例の野々宮屋の一人娘をとっつかまえて、いつもの土蔵に縛っておきやした」
「世話かけたなぁ」
「えへっ、あんな器量のいい、身体もよさそうな生娘をこれから素っ裸にひん剥いて、ヒイヒイ色責めたぁ、兄ぃも罪作りな男だねぇ」
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