知佳
2024/04/02 (火) 16:25:39
cdc0c@909a7
四畳半での謝礼 ~集る漢を追いかけ始めた妻~
傍から見れば猛獣とお姫様。 どう贔屓目に見ても恋仲であるようには映らない。 が、騙されてる音羽であってみれば真剣そのもの。若くして見初められ、金の馬車に乗って嫁いだものだから男女の機微というものを知らない。 周囲が見えない。
W不倫の関係にある、妻子のいるその漢を自分だけの漢と決めてかかってしまう。
地区の花形だった嫁に恥をかかせてはと、慎悟は苦労して稼いだお金の大半をお小遣いとして惜しげもなく渡していた。 音羽はそのお金で漢を振り向かそうと、まるで湯水のごとく注ぎ込んだ。 挙句、財布の中身も預貯金も、全てはたきすっからかんになってしまった。
「ごめんなさい。 今日出してあげたのが最後のお金なの…」
すまなさそうに漢に詫びるが、すっかり浪費癖が付き、組内でもいい顔役になりかけてた漢がたかだかその程度の言い訳で許すはずもない。
「無いなら無いで、どうにかしてくれないことには、儂も困る」
はっきりした理由は口にしないものの、そのあたりは躰を重ねた間柄なら、いくら世間知らずのお姫様育ちでも凡そわかる。
残るは夫婦して老後のために残しておいた預貯金と、夫の生命保険。
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