知佳
2024/03/26 (火) 16:58:15
931b0@909a7
四畳半での謝礼 ~同等な立場に立ちたがる人妻に手を焼く哲也~
男はどうしても将来だの出世だのを考えたがる。 それ一途に考えているとき、変な誘われ方をされても、なかなかその気になれない。真面目一方で、世の中のことをまるで知らないものだから、とんだ事件に巻き込まれた。 こういった時こそ、冷静な判断力が大切なのだ。 事件に糸口はこの女にあると、わかっていながら足踏み状態が続いていた。
(俺を轢いて逃げたあの車。 あれは俺が道に飛び出したからじゃない。 通りかかるのを待ち構えてやがったんだ)
公園も含め、3度も殺されかけている。 偶然に偶然が重なり助かったただけで、運が悪けりゃ間違いなく天国に召されてる。
あかりと名乗る女とデキる直前までは、出世だの仇討だのと考えていた。 が、
何もかも失い、明るいうちは馬車馬の如く働かされるが、暗くなると寝るしかない。 そんな環境に置かれ、ただ真面目に働いてくれさえすればなどと言われるにつけ、自然 ガムシャラではなく冷静こそが大切と、そう思えてきた。
冷静なつもりで街を、家直しの仕事にありつけないものかとブラついていて、かつてのお得意さんとバッタリ出くわした。
家に呼び込まれるまでは、そうとは気づかなかったが、入った途端玄関に鍵を掛ける辺りから妖しく思えてきた。
「あの女と、デキてたんじゃ…」
こう訊かれて初めて、このままじゃまずいと思い始めた。
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