知佳
2024/03/23 (土) 16:48:30
9a087@909a7
四畳半での謝礼 ~おばちゃんのお陰でありつけた、半端ない仕事~
小売店からの返事は待てど暮らせど来なかった。 もちろん、正規の退職願いを出したわけではない以上、そちら方面からの収入など無い。 退職の理由とか、勤められない事情を説明できないものだから、生活保護の申請も出来ない。 したがって家賃はもちろん払えない。店賃が払えない以上、部屋を追い出されるんじゃなかろうかとヒヤヒヤしながらおばちゃん家で棲み暮らした。
おばちゃん、食費が倍以上かかるんじゃなかろうかと、引き受けては見たものの内心何時断ろうか、そればかり考えていたが、そこは女社会。
近所の女性群が、久方ぶりのおばちゃんの恋に応援方々モノを持ってきてくれた。 要するにアチラはどうなったか気にかかり、余りもので釣ったわけだ。
哲也にしても別段どこが悪いわけでもない。 腹が満ち、睡眠が十分とれるようになると見違えるほど元気が出てきた。
おばちゃんももちろん元気が出た。 なにしろひとつ屋根の下に若い男を引っ張り込んだ。 なものだから寸暇を惜しんで世話を焼いた。
すると哲也の中の何かが変わった。 自分だけ食って寝てばかりいたのでは、居心地が悪くてしようがない。 家の中をウロウロするうち雨漏りを見つけた。
風雪に晒され、瓦がズレ、或いは割れ、随分前から雨漏りしていたらしい。
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