知佳
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2024/03/22 (金) 17:56:56
四畳半での謝礼 ~追うものと追われるもの~
「なんでなんだろう…」 哲也は、いよいよ食うに困って相談がてら元の職場を暁闇に訪ねた。何故暗いうちに出かけたかというと、みすぼらしい格好で店の周囲をうろつかれては、しかもそれが元従業員とあっては店側も困るだろうと思ったからだった。 しかもそこでまさかにナースと鉢合わせにでもなれば、それこそカッコ悪くて逃げ帰らざるをえなくなるからだったが…。
目を皿のようにし、何度店内を盗み見ても、先輩の姿はもうどこにも見当たらなかった。
(…先輩は彼女に俺のことを…まさか…)
悪い予感がし、その足で急いでナースの下宿に痛めた脚を引きずり引きずり駆け付けてみたが…。 着いた頃には夜もうっすら明け、街の中心部から離れてるとはいえ、この時間になると多少なりとも人も車も行き交っていた。
(こここそ周囲にそれと棹られないようにしなきゃ…)
最初は恐る恐る物陰から覗き見た。
(…やっぱり…いったい彼らに何が…)
型板ガラスが取り付けてあり、中は見えないものの、玄関脇の格子入りの窓のカーテンはすでに外されていた。
建物の表に回り見上げると、やはりベランダ側の窓のカーテンは取り払われていて、雰囲気からして空き家になってからかなり経っている風にも思えた。
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