知佳
2024/03/10 (日) 16:38:33
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四畳半での謝礼 ~海岸線の漂着物~
哲也はやることがなくなると決まって海に行く。 釣りに出かけるわけではない。 今節釣り道具もバカにならない。 寝る暇も惜しんで働いても、撒き餌すら買うのをためらう。それでも海に行く、気晴らしの散歩に。
水際で戯れていると時間を忘れる。 山育ちだから尚の事海は興味をひかれた。 普通の人はそっぽをむくゴミだって、彼にとっては海の一部なのだ。
大自然と触れ合うのは好きだが、それで生活できるほど世の中甘くない。 少しでも利益に結びつけようと、この頃では海で獲れたものを持ち帰ることに厳しく制限している。
哲也がゴミと戯れるのは、釣りをしたい気持ちを忘れるためだ。
だが、一部の人たちから見れば哲也の行動は疑わしいものであったに違いない。 なんとすればそれは、漂流物を装って禁制品を沖合で流しておいて、後になってこっそり回収し利益に結び付ける輩がいるからだ。
流す時間帯と潮の流れ、それに気象条件によって目的地にうまく流れ着いたり、方向違いのところに漂着したりする。
懸命にそれらの品々を探し歩いていた関係者の目の前で哲也は、何かを拾い、どうにかしていたようなのだ。
深夜の公園がどうのというのは、如何にも人が潜みやすい廃屋裏がかつて取引に利用されたことがあったからだ。
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