知佳
2024/02/12 (月) 18:24:43
cadfe@909a7
恋に溺れる都合の良いオンナ
「ふ~…やってくれたなぁ……」 たった1回で良いから、秀樹のチ〇ポにありつこうと、丘野家の周辺をうろつくなつきの耳に、人の気配すら感じられなくなった、見るからに荒れ果てた深夜の樋口家のどこかから、大きなため息が聞こえた。 ため息の主は普段この家にほとんどいない鉄平だった。義母の亜矢乃は婿殿を巡る恋に破れてからというもの、実家に里帰りと称し出向いたまま帰って来ず。 その鉄平が沙也加の尻に敷かれっぱなしと知った子供たちふたりは、各々好き放題金目のものを持ち出し、何処やら出かけたまま帰って来なくなった。
夫婦の財布はひとつと、すべてを妻に託し、働きに働いた鉄平がこうやって帰ってみると、当の妻は預貯金のすべてを持っていずこかに消えた後だった。
お隣さんのように、漢としての甲斐性が多少なりともあったなら、何処やらから女を見繕ってきて、肩寄せあい暮らしていけたものを、鉄平はだから、上司が進めるまま会社の寮に入らざるをえなくなった。
妻の沙也加を甘やかしていたばっかりに、たくわえが消え、ローンを払えなくなった今となっては家ですら言われるままに明け渡さざるをえない。
散々考えあぐねた末に鉄平は、翌朝ボストンバッグひとつ提げて家を出た。
警察に捜索願を出そうかとも思ったが、妻の過去を振り返るにつけ、まさかという思いが尾を引き、出すに出せなかった。
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